転生したら牧場主になってました。
@mai0514
第1話
「よく来てくれたね!僕の事を覚えてるかい?
君が小さい頃、一度遊びに来てるんだよ。
君はこんなに小さかったから覚えてないかもしれないけど・・・。」
私を見上げるように話す小さいオジさん。
さっきから何か話しているが、私はそれどころではない。
家で大好きな牧場ゲームしてたはずなのに、寝落ちしてしまい、目を覚ましたら知らない場所に立っていた。
異世界物の漫画や小説も好きな私。
自分でも驚くほどすぐに冷静になり、すぐに理解する。
ここは私の居た世界ではなく異世界だと。
周りを見渡す限り、私の世界にもありそうな場所ではあるが、ここが異世界だと確定事項のように決まっているような不思議な感覚。
あたりをキョロキョロ見渡し、下を見ると小さいオジさんが居た。
小さいのに立派なクリンとしたお髭。
ポチャっとした揉み応えのありそうなお腹。
緑色の一張羅に赤い蝶ネクタイ。
何処かで見たことあるんだけどな〜と思っていると
「・・・きみ?聞いているのかい?」
(全然聞いてなかった・・・
なんかよく分からないけど、とりあえず・・・)
『分かりました。』
そう答えると、オジさんが喜んでいる。
なんで喜んでいるのか分からないけど
私も、その場凌ぎの営業スマイルをする。
「そういえば、まだ自己紹介をしてなかったね!
僕の名前はスマート。この町の町長をしてるんだ。
えぇ〜と・・・君の名前はなんだったかな?」
『名前負けの体型・・・』
ボソッと本音が出てしまった。
「ん?」
(良かった。聞こえてないみたいだ。)
『なんでもないです!
(せっかく異世界にきたんだし、いつもゲームのヒロインに付ける名前にしよう‼︎)
私の名前は、リヒです。』
子供の頃に見ていたアニメのヒロインの友達の名前で、よくヒロインがやらかすのをフォローして損な役ばかりになってしまうヒロインの友達・・・リヒ。
それでも、ヒロインの幸せを願う姿に子供ながらに感動したのを覚えている。
そんなリヒを幸せなヒロインにしてあげたくって、ゲームをする時は必ず【リヒ】と付けている。
「リヒさんだね!これから宜しくね。
それじゃ〜君がこれから経営していく牧場に案内するね!」
『えっ⁉︎牧場ですか⁈』
「さっき話したじゃないか?聞いてなかったのかい?
君のお爺さんとお婆さんが経営してた牧場なんだがね、2人とも亡くなられて管理する人がいないから今は荒地状態。
僕はね・・・昔のように活気のある牧場を復活させて欲しいんだ‼︎
そこで、君に手紙を出して、この町まで来てもらったんだ。
さっき僕が
「君に牧場を経営して欲しい!お願い出来ないかい?」と言ったらOKしてくれたじゃないか。
もう、忘れたのかい?アッハッハ」
(さっき『分かりました』って言ったあの時か・・・
・・・ん⁉︎
この小さいオジさん‼︎思い出した‼︎
私の大好きな某牧場ゲームの住人の1人だ‼︎
うわぁーーー♡いっきにテンション爆上がりなんだが‼︎夢見たい‼︎‼︎)
気づけばオジさんを抱え上げグルグル回っていた。
「たっ・・・助けてくれぇ〜〜〜・・・」
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