#52 束の間




 翌朝、寒くて目が覚めた。

 掛け布団をエミが独り占めして、私は全身布団から飛び出していた。


 スマホで時間を確認すると、6時過ぎ。

 ソウジくんは今日はアルバイトがあって、8時半には出かけると言っていた。



 私は起きて、キッチンの流し台へ行って顔を洗い、食材の確認をした。


 お米と玉子、それと前に私が持ってきた味噌や出汁と乾燥わかめがまだ残っていた。


 お米を2合研いで炊飯器にセットして、味噌汁を作りながら目玉焼きを3個分焼いた。



 料理しているとソウジくんが起きたので『ソウジくん、おはよう。 今、朝食作ってるから、顔洗って待ってて』と声を掛けた。


 ソウジくんは寝ぼけながらも「アミさん、おはようございます。 朝から気を遣わせてすみません」と答えてくれた。


 でも、私はソウジくんと挨拶しながらも胸がズキリとして、顔を見ることが出来なかった。





 ご飯が炊きあがると、3人分お茶碗によそって、味噌汁と目玉焼きと一緒にコタツに並べた。

 お茶碗やお皿、箸なんかは、洗い物を頻繁にしなくても良い様にと先週多めに買っておいたので、3人居ても今度は食器が充分足りた。


 朝食の準備を終えると、「エミ! ご飯出来たから起きて!」と、布団に丸まっているエミを起こした。



 3人で朝食を食べていると、目玉焼きはソース派か醤油派かマヨネーズ派かの話題になった。


 ソウジくんの部屋には、調味料が塩と胡椒しか無くて、目玉焼きに一応味付け程度には使っていたけど、何か掛けたいね、という話からその話題になった。


 私はソース派

 ソウジくんは醤油派

 エミはマヨネーズ派、で見事に3人別れた。


 じゃぁソウジくんがアルバイトに行ってる間に、私とエミで買いに行ってこようという話でまとまった。

 その話の流れで、部屋のスペアキーを1つ、ソウジくんから渡された。





 ソウジくんが予定通り8時半に出かけると、エミに食器の洗い物をお願いして、私はお風呂とトイレの掃除をした。


 その後も、布団を干したり部屋やキッチンの掃き掃除をしたり、ガラス窓の拭き取り掃除をエミと手分けしながらやった。

 そこですっかり忘れていた、先週持ち帰って作ったカーテンをスポーツバックから取り出した。


 エミにも手伝って貰いカーテンレールに引っかけてみると、中々上出来だった。




 一通り掃除を済ませると、スマホで近所のスーパーの広告が出ていないか調べた。


 日曜日だったので色々特売が出ていて、服を着替えてエミと二人で急いで買い物に出かけた。






 スーパーではジャガイモと人参、玉ねぎにもやし等の野菜と、日持ちするスパゲティやうどんの乾麺をまとめ買いした。


 エミがお菓子を買おうとしてたので、『お金が勿体ないからダメ!』と注意したけど諦めてくれなくて、『だったらお姉ちゃんと一緒にプリン作ろう。部屋に牛乳が残ってたから、あれ使い切らないと悪くなっちゃうし』と言ってお菓子を諦めさせ、プリンの素を購入した。


 スーパーでは他にも、予定通りにソースや醤油、麵つゆなんかの調味料や、お徳用サイズのふりかけとかも購入した。

 ついでに隣接するドラッグストアにも寄って、私たち用のシャンプーとリンス、それと生理用品も購入した。





 部屋に戻り買って来た物を片づけると、エミが「プリン!プリン!」と騒ぐので、早速作ることにした。


 と言っても、混ぜて冷やすだけで簡単な物で、冷やすのは冷蔵庫が無いので、流し台の正面の窓を少し開けて、そこにプリンを流し込んだマグカップを並べて外気で冷やした。








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