#22 お揃いのスマホ





 夏休みに入ってすぐの頃、部活の時にサクラちゃんが親にスマホを買って貰ったと見せてくれた。



 凄く羨ましい。


 私もソウジくんもスマホは持っていないから、何か連絡したくても全て直接会ってじゃないと出来ない。

 しかも、人目を気にしないといけないし。


 スマホがあれば、いつもで連絡出来るし、一緒に居なくてもお喋り出来るのに。





 そこで、何とか買って貰えないか考えた。


 ママにお願いしても、ダメだろう。

 受験生が何考えてるの!とか言いそう。


 だから私はパパに目を付けた。


 期末試験で順位上がったし、ご褒美に買って貰えないか話してみる。

 なんなら、ちょっと甘えておねだりしてみようかな。


 そして、一緒にソウジくんのスマホも強請ねだってみる。


 お母さんを亡くしたソウジくんに対して、パパは同情的だった。

 そして、ソウジくんは試験で私なんかよりも、もっと良い成績だ。

 その辺りを交渉材料に、なんとか私とソウジくんもスマホを買って貰えないか、ダメ元でパパと交渉してみよう。



 交渉するには、ママが居ない時じゃないとダメだ。

 となると、ママがお風呂に入っている時間。 この時間を狙ってパパと交渉した。



『パパ、お願いがあるんだけど』


「なんだ?欲しい物でもあるのか?」


『うん・・・スマホが欲しいの。 友達とかも持ってる子が多くて、周りだとスマホ持ってないの、私とソウジくんくらいなんだよね』


「う~ん、そうか・・・」


『それに、期末試験頑張ったから私の順位上がったでしょ? それにソウジくんなんて中間も期末も学年1位だったんだよ? 二人ともちゃんと勉強頑張ってるから、ご褒美にスマホ買って欲しいな』


「そうだなー・・・まぁ、今時スマホ無いと不便だしな、二人とも買うか」


『ホント!? ホントに買ってくれる?』


「ああ、いいよ。 パパのポケットマネーだから高いのは無理だぞ? それとパパの名義で買うことになるから色々制限掛けるけど、それでも通話とかメールとか普通に使う程度なら問題ないだろ」


『嬉しい!パパありがとう!』


「じゃぁ今度の土曜日にでもソウジくんも連れて買いにいくか」


『うん!』



 やったー!

 交渉、上手くいった!



 早速その日の夜にソウジくんの部屋に行って、スマホのことを伝えた。


 ソウジくんは「僕には贅沢だし、無くても困らない。それに叔父さんにも悪いから僕はいいよ」と難色を示して、どちらかというとパパを説得するよりも大変だった。


 最終的には『ソウジくんとお喋りいっぱいしたくて頑張ってパパにおねだりしたんだけどな・・・そんなに嫌がるとは思ってなかったの・・・ごめんね・・・』と、落ち込んだフリして泣き落とししたら


 ようやく「分かりました。 アミさんが折角僕の分も頑張ってお願いしてくれたのなら、有難くスマホを使わせて頂きます」と納得してくれた。



 スマホはソウジくんとお揃いの機種で色違いにした。


 私は白色でソウジくんはブルーの。


 早速、買って貰った日の夜はソウジくんの部屋に押しかけ、二人でスマホの使い方をあれこれ勉強した。


 なんとか通話とメールは使えるようになったけど、よく聞くLINEとかアプリとかは、二人ともよく分からず怖いので手を出さなかった。

 そう、実は二人とも機械音痴だったのです・・・



 ママとエミにスマホのことが知られると色々面倒なことになるのが目に見えているので、スマホは隠れて使う様にしようと二人で決めた。

 パパからも「なるべくママには見つからない様に」と言われていた。







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