#15 寝落ち
翌朝、目が覚めると自分の部屋のベッドで寝ていた。
寝ぼけてて最初はよく思い出せなかったけど、頭が覚めてくると昨夜ソウジくんの部屋で遅くまでお喋りしてて、部屋に戻った記憶が無いことに気が付いた。
あれ?私どうやって戻って来たんだっけ?
え!? もしかしてソウジくんに凄い迷惑かけてない!?
そう思って、一人で焦っていると、勉強机にメモ書きが置いてあることに気が付いた。
「アミさん寝ちゃって、このままお母さんに見つかると不味いと思い、アミさんの部屋まで運びました。 勝手に部屋に入ってすみません。 あと、クッキーとても美味しかったです。 ありがとうございました。 ソウジ」
何度も何度も読み返した。
ただのメモ書きだけど、ソウジくんから初めて貰った手紙だと思うと、とても大切な物の様に思えた。
1階に降りると、リビングではパパがテレビを見てて、ママは台所で朝食の用意をしている様だった。
洗面所で顔を洗っていると、誰かがトイレに入る音が聞こえた。
直感でソウジくんだと思い、洗面所の鏡見て急いで髪を梳いて、目をパチパチとさせて寝起きのだらしない顔を矯正して、ソウジくんがトイレから出てくるのを待った。
ソウジくんがトイレから出てきたら、抱き着く様に両腕を捕まえて、台所に聞こえない様に小声で
『昨日の夜、ごめんなさい! それと、部屋まで運んでくれてありがとう!』
するとソウジくんも小声で
「だいぶ遅くまで起きてましたからね。 次からは程々にしたほうが良さそうです」と言って、ニコリと笑ってくれた。
ソウジくんのその笑顔で、私は脳みそが溶けてしまうのでは無いかと思えるほど顔が熱くなり、話すことも忘れてその場で見惚れてしまった。
「とりあえずアミさん、ここだとあまり良くないので、僕は一旦部屋に戻りますね」
『あああ、ごめんなさい!』
慌てて掴んでいた腕を離した。
自分の部屋に戻るソウジくんを見送り、ソウジくんが部屋に入る瞬間、再びソウジくんの元へ駆け寄り腕を捕まえた。
『あの!よかったら、今日お出かけしませんか?』
「え?今日?」
『うん。 ドコでも良いので・・・あ、そうだ! 市立図書館行きませんか?』
「僕は良いんですが、結構遠いですよ? アミさん大変じゃないですか?」
『大丈夫です! 小学生の時に歩いて行った事あるから』
「分かりました。 では時間とかどうしましょう?」
私は急いで頭をフル回転させて、出かけるまでの準備を考えた。
シャワー浴びて着替えて・・・服選ばないといけないな・・・そうだ、クツはこの間買って貰ったパンプス履きたいな・・・でも結構歩くから運動靴じゃないとダメかな・・・他にも何か簡単なお弁当みたいなの用意出来ないかな・・・そうなると、水筒にお茶も準備したい・・・
『10時でどうかな?』
「分かりました。 そうしたら僕は時間早めに家を出ますので、10時にそこの公園で待ち合わせしましょうか」
『うん!』
「ではまた後で」
私は嬉しくて鼻歌を歌いながら台所に行った。
ママから「朝からどうしたの?」と聞かれたけど『今日、サクラちゃんと図書館に行ってくる! 簡単なお弁当とか作ってもいい?』と聞いて、ママの了解を取った。
期末試験の結果が良かったからか、ママがうるさいこと言いださなくて助かった。
お弁当代わりに、おにぎりを作った。
おにぎりは、ママが台所から離れた隙を見て、二人分用意した。
おにぎりの他に、ペットボトルのお茶を水筒に入れ替えた。
お弁当の準備を終えると自分の部屋に運び、それから急いでシャワーを浴びて、着替えることにした。
外を見ると、天気が良くて日差しも強そうだったので、麦わら帽子を被ることにした。
服については、おしゃれで選ぶか、動きやすさで選ぶか凄く悩んだ。
結局、ソウジくんに迷惑かけて失望されたくないという考えに至り、動きやすいシャツとハーフパンツにした。
靴もスニーカーにした。
お弁当はリュックに入れて、お菓子やタオルなんかも詰め込んだ。
10時10分前に1階に降りて、パパとママに『行ってきます』と声を掛けて、家を出て公園に向かった。
公園に着くと、ソウジくんはベンチに一人で座って、何か考え事でもしている様だった。
その姿に見惚れてしまい、また私は30秒ほどぼーっとしまった。
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