#03 新学期





 ソウジくんがウチにやって来てから春休みの間は、家の中でもほとんど顔を合わせることは無く、食事の時にソウジくんが台所に食事を取りに来た時くらいで、私とは会話らしい会話をしなかった。


 普段から部屋から出てくることはほとんど無く、お風呂はいつも一番最後の遅い時間に入っているようだったし、トイレは1階にも2階にもあったので、鉢合わせになることも無かった。


 洗濯物もママが拒否した為、自分で洗っているようだ。


 ただ同居してるだけの他人同士という関係で、1週間もするとこの状況に慣れ始めた。







 学校が始まり、新学期からエミと二人で通学した。


 ソウジくんは、早い時間に家を出たようだ。

 転校生だから、職員室に行くためだろう。



 学校に着いてエミと別れ、昇降口の横のクラス分けの掲示を確認すると、ソウジくんと同じクラスだった。


 教室に行くと既にソウジくんは来ていて、窓際の一番前の席に座り、誰とも喋らずに一人で窓の外を眺めていた。


 私も自分の席を確認して座ると、知ってる子が何人かやってきて、少しお喋りをした。



 みんな、ソウジくんには話しかけないけど、でも気になっている様で、「転校生かな」とか「凄いイケメン」とかチラホラ聞こえてきた。



 私も周りの子とお喋りしながらソウジくんの様子を見ていた。


 ソウジくんは、背筋を伸ばしてとても姿勢が綺麗だった。

 身長も高く顔が整っているから、一人で外を眺める姿はとても絵になっていた。








 担任がやって来て最初のHRが終わると、一人づつ自己紹介をすることになった。


 ソウジくんは出席番号が1番で、自己紹介もトップバッターだった。


「安藤ソウジと申します。○○県から転校して来ました。 よろしくお願いします」

 ウチにやって来たときと同じように、真面目に挨拶して頭を下げていた。




『間宮アミです。2年は2組でした。 部活動は文芸部です・・・よろしくお願いします』

 緊張しながら自分の挨拶を終え、ふとソウジくんを見ると、ソウジくんは先ほどまでと同じように背筋を伸ばした姿勢のまま外を眺めていた。


 クラス中の生徒が自己紹介をした私を見ている中、まるで一人だけ別の世界に居るようだった。









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