第30話  sideロメオ

 俺は現在殿下……カルの側近で元某国の暗殺者とは言えだ。 

 だからと言って俺は平民ではない。


 これでもれっきとした貴族の生まれ何だよね。


 ただ暗殺に長けた家へと生まれればさ、気づけば息を吸って吐く様に実に自然な環境下で暗殺術を極めたと言う訳だ。

 そうしてこの国へ、腹黒王子ことカルの暗殺をある人物より請け負えばだ。

 いい所まで持ち込んだのだけれどな、結局俺はカルに負けてしまったの。


 まあ負けた以上死は当然受け入れていた。

 だがカルは死を覚悟した俺へ側近になれと言う。

 いや言葉に出した時点でもう決定していた……よな。


 しかしはいそうですかって簡単にはいかない。


 第一暗殺一家である俺の家が許しはしないだろう。

 これでも将来有望株だからな。

 なので某国での俺は一度死んだ事として新たなる名前と身分、そして容姿を変える事にした。


 でもそれだけでは到底実家を誤魔化すなんて事は出来ない。


 だから手っ取り早くカルと俺、それから俺の様にカルに気に入られた者達を連れて俺の実家共々某国のヤバい要人とカルの暗殺を依頼した一派を綺麗に一掃してやったのさ。


 狙う者がいなくなれば襲われる事はない。

 これが一番手っ取り早い解決法。


 ああ因みに俺達暗部の者は表の名前以外に裏の名前……愛称とは違うな。

 とてもではないがそんなに可愛いものではない。

 うん先程の対象者であるエリーゼを尾行していたのは1


 変な名前の割に彼女の見た目は本当に普通の可愛い女性だぞ!!


 性格は相当病んでいるのは否めないがそれでもだ。

 女性に変な番号ってないだろう。

 まあ番号は女性に限りはしない。


 そんな俺は1


 だからせめてロメオにしてくれと絶賛今懇願中だ。

 とは言えこのセンスのないネーミングは全てカルが命名している。

 壊滅的にネーミングセンスのない男だが、これでも何時も澄ました表情で淡々と指示を出すいけ好かない腹黒第二王子、それがカルステン。


 そんなカルステンの唯一の弱点が従妹姪のヤスミーン姫。


 彼女こそは完璧なる淑女。

 心優しいけれどもない面はかなりの現実主義で当然気も強いし保有している魔力も半端ない。


 昨今何れの国も魔力持ちは本当に貴重な存在。

 然もその保有量は世界でもトップクラス。

 俺やカルも魔力は保有しているが彼女とは比べる前にレベルそのものが全く違う。


 貴重で希少な存在であるヤスミーン姫。

 その彼女を散々育児放棄したかと思えばだ。

 死の直前にとんでもない奴と婚約を調えた彼女の両親へ最後の息の根を止めたのは俺達だ。


 勿論事故そのものは仕込んではいない。

 ただ中途半端に生きられ、これより先ヤスミーン姫の人生に更なる苦悩を追加させる喜来が両親共に認められた故カルの判断で粛清させて貰った。


 またこの事実をヤスミーン姫には伝えてはいない。

 ただし案の定彼女の両親が亡くなった時点で双方の愛人家族が彼女へ直接コンタクトを取りかけたのを知り、カルと俺それから数名の者達と共に愛する者達の許へと旅立って貰った。


 これで彼女を悩ませる材料を多少は粛正する事が出来たと思った

 そして聡い姫だから気付いているのかもしれない。

 でも彼女は決して俺達へ何も問い質しはしない。


 それが正解で正しい。


 カルは幼い頃より愛らしいヤスミーン姫にかなり纏わりついていたらしい。

 姫自身ははっきりとと態度へ表し拒否をしているのだけれどね。


 どうやら婚姻には問題ないが血が濃過ぎるのとカルの想いが重過ぎて鬱陶しいらしい。


 後は爵位の継承問題……な。


 ヤスミーンは女公爵でカルの場合は王弟だから行く行くは大公か。

 愛があればそんな事は問題じゃないと言うカルの気持ちもわからなくもない。


 だがなカル、今度の勝負俺は負けはしないぜ。

 確かに俺はお前との勝負に負けたけれども人生は……な。


「おいロメオ!! 俺は初めて恐怖を知ったのかもしれん!?」


 エリーゼ嬢の怨念……いや執念が彼女の気配を察知すると共にこちらへ向かってくる圧が半端ねぇ。


 カルでなくともマジでホラーだわ。


 あとどのくらいで目の前の窓枠に最初の一手が掛けられるのだろう。

 はあマジで今〇〇子がくーる、きっと来る~ってああ音楽迄聞こえ出したよ。


 なあ他人事の様にお前を突き放す感じの俺を赦してくれよなカル。

 そして本当に無責任な言い方で悪いけれどよ。

 生まれて初めて恐怖を知った相手とくっつくのもありなんじゃね。


 新たな扉を開く~って感じでさ。

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婚約者?勘違いも程々にして下さいませ ぱぴよん @papiten4

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