第22話 (残虐描写あり)
待機していた
助け出した
そして
極刑と定められた者が、どれほど惨い刑を受けるか。
それを熟知する
そして今は、
薬湯を満たした壺や
銀色の月が地平に隠れ、空を碧が包み始めた頃。
部屋に高僧が呼ばれた。
医僧たちの読経が流れ始め、
「
「みなさま……どうぞ、こちらへ……」
「……失礼いたします……」
二人が近付くと、若き僧の一人が
促されるままに腰を落として
畳に横たえられた
二枚の
高僧が被る白い
固く閉じた右目の周りは少し腫れているが、鼻や唇は腫れてはいない。
しすし、掛けられた
そして胸には、五色の糸で編まれた紐に繋いだ銀鈴と、数珠が置かれている。
その足元には高僧が座り、後ろの医僧五人と共に、読経を唱えておいでだ。
枕元には姫君、そして傍らには
高僧の横で三人を迎えた
「……お話なさってくださいませ……短い時間なら、どうにか……」
姫君は、一同に語る。
短い時間ながら、触れた者に『癒し』をもたらすと言う。
しかし姫君に促されても、
潤んだ瞳で、
兄の変貌、凶行を未だに理解できない。
まして『近衛府の四将』として、『不滅の契り』を交わした仲間の二人を犠牲にするなど、想像の範囲外だ。
見かねた
その気配を感じたらしい
頬はやつれ、健康だった頃の面影は無い。
けれど、その眼差しは驚くほどに穏やかで、全てを受け入れた者の輝きが在った。
「……アラーシュ……許してくれ……ガレシャを…止められなかった……」
「……エオリオ様……!」
昔のように本名で呼ばれた
最期の時を前に、
友の
そり想いに、
「エオリオ様……いつか……兄を止めてみせます……きっと……」
「君たち四人で……彼を救ってやってくれ……
「はい……はい…!」
大きな役目を果たした者の、満たされた笑顔だ。
その瞼はゆっくり閉じ、かすかな息の音も途絶える。
高僧が鈴を鳴らし、僧医たちは頭を伏せた。
尼僧は、手元の
室内が少し暗さを増し、再び読経が響き始める。
「……エオリオ様……愚かな兄と私をお許しください!」
恨み言のひとつでも言い残して欲しかった。
お前たち一族は呪われろ、と
そうであれば、兄への憎しみを募らせられる。
復讐を
だが
友の弟と仲間たちが、殺意に満ちた闘いをするのを望まなかった。
けれど……それを受け入れられない。
一人を助けた四人は戻らず、その一人の命も尽きた。
故郷は恐怖に支配されたままだ。
この状況のどこが『勝利』なのか。
これが『正義』だと言うのなら、
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