第2話 勉強のコツ

塾に通う生徒の目標はいくつかある。

志望校に合格したい。定期テストでいい点とりたい。授業についていけるようにしたい。親に言われたから来てます、本当はやめたいです。など。

学力や生活環境に合わせて目標は三者三様だが、共通している想いがある。

できるだけ楽して頭が良くなりたい。

つまり、最短の労力でテストの点数をあげたいといったものだ。

だから「塾長、勉強のコツ教えてよ。塾長だから知っているでしょ」

と何度も聞かれる。


そう、知っている。塾長だからね。

勉強のコツはいくつかあるが一番有効だと経験から確信していることがある。

それは、繰り返しだ。

歴史の教科書を読んだら、同じ個所を繰り返し読む。数日あけてまた読む。

もちろん目で追うだけではなく、覚えようと読むことが必要だ。

英語でも数学でも同じだ。もちろん読む行為が、解くに変わることもある。

繰り返す、という単純な作業が一番学力向上の近道だ。どの学術本でも言っていることだ。

でも、みんなやらないんだ。


高2の奈津美が話しかけてきた。

「塾長、この間の中間テストの世界史だめだった。お母さんに怒られたよ。」

「(・・・保護者面談したくないな。私も怒られるよ。)

 先生(講師)とテスト結果の分析したか?」

「したよ、やっぱり世界史はカタカナでなにいっているか分かんないよ。」

「(・・・・分析以前ですね)そうか、期末近いからリベンジしような。」

「え~、むりむり。塾長、勉強のコツ教えてよ。」

「またその話か。だから繰り返しだよ、繰り返し。それやっているか?」

「だからやらないよ。めんどくさいし、同じもの読んでいると飽きちゃうよ。

 ほかにないの、すぐ頭よくなるやつ。隠してない?

 教えてくれないと勉強しないよ!」


学力向上の道は困難である。



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塾って通わなきゃだめ?? @aboritto

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