塾って通わなきゃだめ??
@aboritto
第1話 こんにちは!塾長です!
「塾長、お菓子ちょうだいよ。」
中学三年生の陽介が、塾長席でいつものように言ってくる。
そう、ここは駄菓子屋でもコンビニでもない。れっきとした個別指導塾である。
まして私は、この塾の頂点である塾長だ。断じて駄菓子屋のばあさんではない。
それでも私はいつものように言う。
袋菓子の個包装されたキットカットを手に取りながら、
「一個だけだぞ。早く授業にいけ。先生待っているぞ」と。
ここは、あかさたな個別指導塾。
小中高生を対象、補講・受験対策を目的としたどこにでもある塾だ。
一言で、塾といってもその種類は多岐にわたる。
個別指導塾もあれば集団塾もあり、映像主体の塾もある。なかには勉強をおしえないことを売りにしている塾もある。
また、個別指導塾だけでも違いはある。
塾に通っていない人はびっくりするかもしれないが、生徒と先生が一対一のつきっきりでずっと授業を行うところは以外と少ない。
たいていは、先生一人に対して生徒が二人だったり三人だったりする。もっと数が多いこともある。
どうやって、個別で教えているのかというと、生徒の勉強する机は固定で、先生が移動しながら個別に教えるのだ。
単元の説明をする。演習させる。一方の生徒の机に移動して同じことを行う。それを繰り返す。
つまり、解説と演習を交互に行うことで、個別に教えることができる。
繰り返しになるが、ここは、あかさたな個別指導塾。
そして私はその長たる者だ。
ただし、生徒の半分以上は私に対して敬語を使っていない。
お菓子も要求すれば、進路の話そっちのけで恋バナを仕掛けてくる。
お前の性の話は聞きたくない。
そんな塾での話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます