ハッピー・ハロウィン!

武藤勇城

ハッピー・ハロウィン!

子供の頃に憧れたシンデレラ


継母に虐められる幼気な少女

魔女の力でお姫様に変装して

かぼちゃの馬車に乗せられて

城のパーティーに参加するの

夜十二時の鐘と共に終わる夢

でも最後は王子様と結ばれる


そんなお姫様を夢見た幼少期



は?そんな変装は絶対に嫌!

っっっっ対に着ないからね!

ピーマンの衣装って何よ!?

いやよ!そんなの着て行くの

・・・もっと可愛いのない?

ハート様?何それ?デブ男?

ロロノアゾロ?男ばっかりね

ウーロン?せめて人間にして

イレイナ?魔女ね!いいかも

ん~じゃあそれで決まりね!


10月末の渋谷ハロウィン!

高校最後の思い出作りにって

コスプレ選びも楽しかったわ


ハナシをしていた相手は彼氏

よッ!って言いたいけれどね

実はピー!もまだない男友達

変装?イイよテキトーでって

包帯だけハダカの上に巻くと

猪木の赤いローブを羽織った

ミイラ男のホウタイマンって

笑う彼はまるでイタズラっ子

小包に入れたキャンディ持ち


いざ!ハロウィン会場へGO



コンザツ具合は悪魔的だった

オイィ!人多すぎじゃない?

ホウボウ歩き回って疲れたし

軽口もソロソロ減って来た頃

「ハイル?八千円だってさ」

「・・・・・・」見詰め合う

えーと。ラブホーだよねここ

セピア色の看板にピンクの壁

エッ絶句する私をソッと誘う

は八千円だよ?安いさハニー



夢見た童話とは違ったけれど

あの初めての夜を思い出す度

今もニヤニヤが止まらないの


木枯らし吹く庭の枯葉を集め

孫・子と一緒に焚火しながら

ホイルに包んでカボチャ焼く


「ハッピー・ハロウィン!」


今年もあの季節が来たのねと

彼の墓前に焼南瓜を供えつつ

若かりし日々に思いを馳せた


 おわり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハッピー・ハロウィン! 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ