記憶の欠片
第21話 或る新しい少女
新しい少女が生まれるのは、些細なきっかけが多い。
TVで、母親の内縁の夫からの虐待で亡くなった子供のニュースを観た時。
膝の上で欠伸をする、老いていく愛猫を撫でている時。
先に旅立った、愛犬が夢に来てくれた時。
どうして、「まだ貴女は生きているの?」
過去を思い出し、未来に希望を見いだせず、この世界の隅で、膝を抱えて力なくただ泣いている。
「死を望む事は、悪である。生きたい人がいるのに、それは贅沢だ」
声高に説教するあなたは、地獄を見た事があるの?
新たに生まれた「私」に意識をバトンタッチして、「私」は眠りにつく。
苦しい世界。
助けて、
「私」を。
そして、「私」は、眠ります。
新しい「私」が、少しでも息がしやすいように。
深い眠りの中、願うだけ。
或る少女の話 七海美桜 @miou_nanami
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます