記憶の欠片

第21話  或る新しい少女

新しい少女が生まれるのは、些細なきっかけが多い。



TVで、母親の内縁の夫からの虐待で亡くなった子供のニュースを観た時。



膝の上で欠伸をする、老いていく愛猫を撫でている時。



先に旅立った、愛犬が夢に来てくれた時。




どうして、「まだ貴女は生きているの?」




過去を思い出し、未来に希望を見いだせず、この世界の隅で、膝を抱えて力なくただ泣いている。



「死を望む事は、悪である。生きたい人がいるのに、それは贅沢だ」



声高に説教するあなたは、地獄を見た事があるの?




新たに生まれた「私」に意識をバトンタッチして、「私」は眠りにつく。




苦しい世界。




助けて、






「私」を。




そして、「私」は、眠ります。



新しい「私」が、少しでも息がしやすいように。




深い眠りの中、願うだけ。

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或る少女の話 七海美桜 @miou_nanami

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