第43話 知らない弱み
私は、フリムド様と話し合っていた。
彼の事情を知ったことを話した後、私はお兄様の弱みについて聞くことにした。
もちろん、これにフリムド様が答えてくれない可能性はある。というか、その可能性の方が高いだろう。
だが、聞くだけならただである。そのため、私は聞くことにしたのだ。
「フリムド様は、お兄様の弱みを知っていますか?」
「弱み? 弱みですか?」
私の言葉に、フリムド様は少し驚いていた。
突然、友人の弱みを知っているかと聞かれたら、そのような反応になるのも当然だ。
「彼の弱みというなら、友人であるため、ある程度把握していますよ。何か、嫌いな食べ物とか聞きたいとかですか?」
「あ、いえ、そういうことではありません」
フリムド様は、弱みというのを軽いものだと判断したようである。
確かに、私の切り出し方だけなら、日常会話でもおかしくはないだろう。
お兄様の嫌いな食べ物について気にならない訳ではないが、今は時間が惜しい。そのため、私はフリムド様に詳しい事情を説明することに決める。
「実は、昨日私の元に、弟のケルヴィルが訪ねて来たのです」
「はあ、弟さんですか?」
「ええ、ケルヴィルは、何やらお兄様とカ……お母様の会話を聞いていました。なんでも、二人は弱みについて話していたようなのです」
「ほう……」
私の説明で、フリムド様は少し表情を変えた。
そのタイミングに、私は少しだけ違和感のようなものを覚える。
フリムド様が表情を変えたのは、お兄様とカルニラ様の会話という部分だった。ということは、この部分がお兄様の弱みに関することなのだろう。
「なんでも、その弱みは二人にとって一蓮托生であるみたいなのです。そのことが、どうしても気になってしまい、フリムド様なら何か知っているのではないかと、聞かせてもらったのです」
「一蓮托生の弱みですか。それは、興味深いものですね」
私の質問が終わると、フリムド様は元の表情に戻っていた。
だが、その表情は恐らく作り出したものである。先程の変化から考えて、まず間違いないだろう。
「残念ですが、僕はその弱みについては知りませんね。家族同士のことですから、僕にはわかりません」
「そうでしょうか?」
「ええ、そうなのです」
フリムド様は、お兄様の弱みについて知らないと言ってきた。
しかし、それが嘘であることは、もうわかっている。彼は、その弱みについて知っているのだ。
つまり、フリムド様にとって、その弱みは隠しておいた方がいいと判断するようなものだったのである。それが、どういうものか。なんとかして、予測できないだろうか。
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