第41話 休み時間に

 授業が終わった後の休み時間、私はフリムド様の隣にいた。

 といっても、私がフリムド様の隣に行った訳ではない。彼が、私の元に寄ってきたのだ。

 もしかして、フリムド様が一人で寂しがっているというのは本当だったのだろうか。

 当然のことではあるが、教室内でも注目されている。ただ、それはもう気にしない。

 フリムド様の素性は、既に知っている。何故私と一緒にいようとしているのか、理解しているのだ。だから、もう何も言うことはない。


「あっ……」

「うん? どうかしましたか?」


 そこで、私はあることに気づいた。

 そういえば、フリムド様にお兄様に色々と聞いたことを言っていなかったのだ。

 お兄様のことを聞く他にも、フリムド様と話さなければならない理由があったのである。

 私は、どちらにしても、フリムド様と話す必要があったのだ。


「えっと……フリムド様、少しよろしいでしょうか?」

「はい。なんですか?」


 私が話しかけると、フリムド様は笑顔で応えてくれた。

 なんというか、さわやかな笑顔である。それは、本当に喜んでいるのだろうか。

 お兄様から話を聞いてから、フリムド様の印象は随分変わった。この人も、心の中では色々なことを思っているはずだ。だから、この笑顔の裏でどのようなことを思っているのかなど、余計なことを考えてしまう。


「えっと……」


 その内面が、なんとなく想像できてしまうのがいけないのかもしれない。

 同じ境遇にいたから、こんなことを考えていた。そのように予測できてしまうことが、私の考えを変にしてしまうのだろう。


「フリムド様と……二人きりで話したいのです。誰にも聞かれないように……」

「なるほど、そういうことですか」


 私の言葉に、フリムド様はゆっくりと頷いてくれた。

 恐らく、昨日の会話の流れから、私が何故二人きりで話したいかを理解しているのだろう。

 尤も、私には他にも気になることがある。それは、フリムド様も予測できていないようなことなのではないだろうか。


「それでは、お昼休みに個室にでも行きましょうか。この学校には、個人が使える部屋がいくつかあります。秘密の相談をするには打ってつけですよ。完全防音ですから、他者の耳に入ることはありません」

「そうですか……わかりました。そうしましょう」


 どうやら、この学校には秘密の話ができる個室があるらしい。

 それなら、そこに行けばいいだろう。

 ただ、問題はこの話が昼休み中に終わるかである。昼休みは、長い休み時間なので、色々話すのには最適な時間だ。だが、私が話したいことが、その時間で終わるとは思えないので、少し心配である。

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