第40話 授業中でも

 私は、学校に来ていた。

 今日からは、普通に授業が始まっている。

 現在は、魔法に関する授業を受けている。最初の授業であるためか、今日は基本的なことを学ぶようだ。


「魔法というものは、人体に宿る魔力というエネルギーを使って行使される特別な力のことである」


 しかし、私はその授業があまり頭に入ってきていなかった。

 なぜなら、お兄様やカルニラ様のことが気になって仕方ないからだ。

 なんというか、私は日々色々なことを気にしなければならない立場にいるようである。


「皆さんの体にも、魔力が宿っています。その魔力の使い方は、多くの人が知っているでしょう。ただ、知らない人も中にいるかもしれません。ですが、それでも問題ありません。魔法学校では、魔力の使い方を基礎から学ぶことができます」


 学校に来てから、私は一つあることを思いついていた。

 もしかしたら、フリムド様に聞けば、何か情報を得られるのではないだろうか。

 フリムド様は、お兄様と親しい人だ。その人なら、弱みというものを知っていてもおかしくはない。

 だが、フリムド様に聞いても教えてはくれないのではないだろうか。お兄様と親しいのだから、弱みについて聞いて、教えてくれるとは考えにくい。


「まずは、座学による学習を行ってもらいます。魔法がどのような原理で引き起こされているか、どのような魔法があるか、それを学ぶことがこの授業の基本となります」


 しかし、聞いてみるだけならただなので、聞いてみようとは思っている。別に、教えてくれなければそれでいいのだ。

 もしそれがお兄様の耳に入って怒られたりしたら、迂闊に会話を聞かれた方が悪いと返せる。私に、特にデメリットはないだろう。


「その後は、実習により学んでもらいます。実際に魔法を使って、それらを覚える。どちらかというと、こちらの方が楽しいかもしれませんね」


 だが、そこには一つ問題がある。フリムド様と、どのように話せばいいのだろうか。

 私は、フリムド様に対しては親しみを覚えている。そのため、もう話すことに躊躇いがあるという訳ではない。

 だが、今回の話は人に聞かれてはいけない話をする。つまり、人気がない場所にフリムド様といかなければいけない。

 そもそも、その場所を探すのも大変なのだが、そこに二人で行くというのはどうなのだろうか。

ただでさえ噂になっているのに、そんなことをしたら、また色々と邪推されるだろう。それは、色々と面倒である。

 そんなことを考えながら、私は授業を受けていた。そのため、あまり中身が頭に入って来なかったのである。

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