第37話 意外な訪問者
私は、学校を終えて、屋根裏部屋に戻って来ていた。
この慣れ親しんだ部屋のベッドの上で、私はゆっくりと考える。お兄様とフリムド様は、どのような関係なのだろうかと。
「失礼します」
「え?」
私がそんなことを考えていると、部屋の戸を叩く音と声が聞こえてきた。
この声は、ケルヴィルの声である。その声を聞くのは、とても珍しい。いつもなら、コーリエがこういう時は喋るからだ。
とりあえず、私は部屋の戸を開けに行く。
「え?」
「お姉様、お休みの所申し訳ありません」
「あ、別に大丈夫だけど……」
私が戸を開けると、そこにはケルヴィルが立っていた。
しかし、そこに立っているのはケルヴィルだけなのだ。いつも一緒であるはずのコーリエがどこにもいないのである。
「あれ? コーリエは?」
「あ、はい。その……コーリエは、今お母様といて……」
「ああ、なるほど……」
ケルヴィルの回答で、私は少し理解した。
コーリエは、今カルニラ様と一緒にいるのだ。それなら、ここに来られないのは当然のことである。
だが、まだ疑問があった。何故、ケルヴィルは一人で来たのだろうか。
ケルヴィルとコーリエは、いつも二人で来ていた。コーリエが一人で来ることも、ケルヴィルが一人で来ることもなかったのだ。
もちろん、今までは予定が合っていたから二人で来ていたという可能性もある。しかし、少しだけ気になるのだ。
「一人だけで来たんだね?」
「あ、えっと……実は、お姉様に相談したいことがあって……」
「相談……そうなのね」
どうやら、ケルヴィルは何か相談があるらしい。
それなら、別におかしくはないだろう。相談というなら、むしろコーリエがいない方がいいのかもしれない。
「それなら、入って。私で役に立てるかわからないけど、できる限りの相談には乗るよ」
「あ、はい……」
私は、ケルヴィルを屋根裏部屋の中に入れた。
何度も来ているため、何も言わずにケルヴィルはベッドの上に座る。そこが、二人の定位置なのだ。
それに対して、私は一つしかない椅子に座る。こちらは、私の定位置だ。
「それで、相談って、一体何かな?」
「えっと……実は、お兄様とお母様のことなのですけど……」
「お兄様とカルニラ様? 何かあったの?」
ケルヴィル様の相談は、お兄様とカルニラ様についてのものであるらしい。
それは、とても嫌な相談である。どちらに関する相談でも、ややこしいことになることは間違いない。
どうやら、私はこれからかなり頭を悩ませることになりそうだ。
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