第24話 思い浮かんだ心配

 私は、お兄様から魔法学校に入学するように言われた。

 始めは驚いていた私だったが、段々と状況が理解できてきた。

 だが、理解できた故に、心配なことが思い浮かんでくる。本当に、私は魔法学校に入ることができるのだろうか。


「あのお兄様、少し質問してもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「カルニラ様は、私の魔法学校への入学を許してくれるのでしょうか?」


 私が心配しているのは、カルニラ様や姉達のことだった。

 彼女達が、私の魔法学校への入学を許すはずはない。絶対に、何か言ってくるはずだ。

 そうなると、かなり面倒なことになるだろう。それ、とても心配なのである。


「許すか許さないかで言えば、母上は許さないだろうな」

「や、やっぱり……」

「だが、お前がそんな心配をする必要はない。奴らは、この俺が黙らせるからだ」

「だ、黙らせる……」


 しかし、カルニラ様達への心配はいらないようだ。

 お兄様が、黙らせてくれるらしい。それは、とても頼もしいことだ。


「でも、本当に大丈夫なのですか? いくらお兄様でも、カルニラ様が反対したら、かなり厳しいのではないでしょうか?」

「ふん……」


 しかし、それでも心配である。いくらお兄様が強いからといって、カルニラ様を押さえつけておくのは難しいのではないだろうか。

 現在、クーテイン家で最も権力を持っているのは、お兄様だ。だが、次いで権力を持っているのがカルニラ様なのである。そのカルニラ様が猛反対すれば、色々とまずいのではないだろうか。


「確かに、母上の意見には多少耳を貸さなければならない面はあるだろう。だが、問題はない」

「そうなのですか?」

「数年前ならともかく、母上は俺に逆らえるだけの力がない。現在、クーテイン家の実権は俺が握っている。母上が何を言おうとも、俺の意見を通すことは難しくない」


 どうやら、お兄様はカルニラ様に逆らわせない程の力を持っているらしい。

 口振りからして、昔はカルニラ様もそれなりに力を持っていたのだろう。だが、ここ数年で権力のバランスが変わったようである。

 そのようなことになっていたとは、まったく知らなかった。そもそも、私はクーテイン家の実権の話など、ほとんど聞いたことがない。元々興味はなかったが、そういう話は聞かせてもらえなかったのである。


「母上達も愚妹達も、俺が押さえつけておく。お前が心配する必要はない」

「は、はい……」


 お兄様は、私に対してはっきりとそう言い切ってくれた。

 今までは敵として接してきていたためとても恐ろしかったが、味方になるとお兄様はとても頼もしいものである。

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