第23話 驚きの本題
私は、カルード様と話し合っていた。
カルード様は、お母さんから私を託されて、ここまで導いてくれていたようだ。思い返してみれば、私は彼に色々な面で助けてもらっていた。
そんなカルード様のことを、私はお兄様と呼ぶことにした。今まで助けてくれた彼に、親愛の念を持って、そう呼ぶことにしたのだ
「ふん……」
私の呼び方に対して、お兄様は特に何も言わなかった。
ただ、嫌がっているようには見えない。それなら、この呼び方でもいいということなのだろう。
「さて、随分と話が逸れてしまったな。そろそろ、本題に移るぞ」
「あ、はい」
そこで、お兄様はそのように言ってきた。
よく考えてみれば、私は話があると言われてここまで来たのだ。色々と他の話をしている内に、すっかり忘れてしまっていた。
今までの話は、本題ではない。お兄様が私を呼び出した理由は、まだ何もわかっていなかったのである。
「今日お前を呼び出したのは、これを渡すためだ」
「これは……」
お兄様は、私に一枚の紙を渡してきた。
その紙を見て、私は驚いた。その内容が、衝撃的なものだったからだ。
その紙には、色々なことが書いてある。だが、一番重要なのは、その紙がどこから来たものなのかだ。それに、私も驚いたのである。
「これは、魔法学校から来た文書ですよね?」
「ああ、そうだ」
「えっと……どうしてこれが私に?」
「お前が魔法学校に入学するからだ」
「え?」
お兄様の言葉に、私は再度驚くことになった。
私が魔法学校に入学する。その言葉が、まったく頭の中に入って来ない。
言葉の意味はもちろん理解できる。ただ、唐突過ぎたため、状況が呑み込めないのだ。
「ど、どういうことですか?」
「言葉のままの意味だ。お前には魔法学校に入ってもらう」
困惑する私に、お兄様は淡々と事実を告げてきた。
その冷静な態度に、私もだんだんと落ち着いてきた。
私は、魔法学校に入学するのだ。それは、紛れもない事実であるらしい。
「あの……もうそれは確定しているのですか?」
「ああ、既に手続きは済ませてある」
「私の意見は……?」
「お前の意見など聞くまでもないと判断したからだ。何か問題があるか?」
「え? いや……」
なんの了承もなく、入学が決まっていることに驚いた私だったが、よく考えてみればそこまで問題ないことだった。
私は、魔法学校に行きたいと思っていた。それを見抜いていたから、お兄様は既に手続きを済ませておいてくれたのだろう。
だから、何も問題ない。これで、私は魔法学校に通うことができるのだ。
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