第20話 兄の評価
私は、カルード様の部屋に来ていた。
ここに来る前、私は義母や姉達を怯ませた。そのことは、カルード様にとってとても愉快なことだったらしい。愉快過ぎて、高笑いしていたくらいだ。
「えっと……カルード様、聞いてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「カルード様は、カルニラ様達のことをどのように思っているのですか?」
そこで、私は一つ聞いてみることにした。
カルード様は、カルニラ様や姉達のことをどう思っているのか。それは、この際聞いてみたいことだった。
高笑いするくらいなので、どのように思っているかは気になる。いい評価はしていない印象だが、とにかく本人から聞いてみたい。
「奴らに関しては色々と思う所がある。だが、それを言っていると時間がかかる。残念ながら、俺はそこまで暇ではない。よって、一言で説明しよう。奴らは、邪魔だ」
「邪魔……」
カルード様の口から出てきた評価は、思っていたより辛辣なものだった。
だが、なんとなく理解できる。フリムド様が来ていた時、あの三人はカルード様の邪魔になることばかりしていた。あれは、かなりストレスが溜まるはずだ。
もしかして、普段からあのようなことが多いのだろうか。それなら、そのように評してもおかしくはない気がする。
「……あの、カルード様」
「なんだ? まだ何かあるのか?」
「えっと……カルード様は、私のことをどう思っているのですか?」
「何?」
そこで、私はそのような質問をしていた。
カルニラ様達のついでに、自分自身の評価を聞きたくなったのである。
少々怖いが、これは聞いておいた方がいいだろう。今まで、どんなことを思いながら、あのようなことを言ってきたのか、それを知ることは今後に繋がるはずだ。
「俺のお前への評価は、少々複雑だ」
「複雑?」
「一つ言っておこう。俺は、お前を嫌っていた訳ではない」
「え?」
カルード様の言葉に、私は驚いてしまった。
私を嫌っていた訳ではない。そのようにカルード様が思っていたとは、想像していなかったことである。
嫌っていなかったのに、あのように罵倒してきたというのだろうか。それは、少し意味がわからない。
「尤も、向上心を失っていたお前の顔が見るに堪えないと思っていたのは事実だがな……」
「それは、事実なのですか……?」
ただ、あの言葉が嘘偽りという訳でもなかったようだ。
なんだか、益々よくわからなくなってきた。カルード様は、何を考えていたのだろうか。
これは、色々と話を聞き出さなければならないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます