第13話 二人の認識

 私の部屋に、ケルヴィルとコーリエが訪ねて来た。

 二人は、私のことを姉として認識するようになったようである。

 元々、二人は私のことを嫌っているようには感じていなかった。そのため、すんなりとその事実を受け入れることができたのである。


「あ、お姉様、中に入ってもいいですか?」

「あ、うん。いいけど、狭いよ」

「問題ありません」


 コーリエとケルヴィルは、私の部屋の中に入ってきた。

 屋根裏部屋は、最低限の広さしかないため、子供二人がいるだけでも、とても狭いように思える。


「なんだか、秘密基地みたい」

「そうだね……僕も、少しわくわくするよ」


 しかし、二人は私の部屋に好印象を抱いていた。

 どうやら、この屋根裏という特殊な環境が、二人の好奇心を刺激したようである。

 確かに、ここは秘密基地のような場所にある秘密基地のような部屋だ。幼い二人がわくわくしても、おかしくはない気がする。


「あ、そのベッドの上にでも腰掛けてくれる?」

「あ、はい」

「わ、わかりました……」


 とりあえず、二人にはベッドの上に座ってもらった。

 この部屋にも、一応椅子はある。ただ、その椅子は固い材質なため、二人には座らせるのは少し忍びない。ベッドもそこまでいいものとはいえないが、少なくとも椅子よりは座りやすいはずである。

 そもそも、この部屋に椅子は一つしかない。私と二人が対面するべきだと思うので、ここは私が椅子でいいはずだ。


「それで、何か話でもあるの?」

「あ、はい。少しお姉様と話したいと思ったので……」

「そうなんだね」


 ケルヴィルとコーリエは、私と話したいと思い、中に入ってきたらしい。

 私と二人は、これまであまり接点がなかった。そのため、色々と話してみたいという気持ちは理解できる。


「私もケルヴィルも、今までお姉様とはまったく話してきませんでした。それは、お母様に言われてきたからです」

「あ、うん」

「でも、私もケルヴィルも、そこまでお姉様のことを嫌っている訳ではありませんでした。というか、よく知らないので好きになる理由も嫌いになる理由もなかったのです」

「それは、そうだよね」


 コーリエは、私に今までの経緯を話し始めていた。

 それは、私が聞いたり、予想していたりしたことと概ね一致していた。

 やはり、二人は私のことを嫌っていた訳ではないようだ。そもそも、コーリエの言う通り判断できなかったのだろう。


「お母様や他のお姉様達は悪く言っていましたが、なんだかそれはあまり信じられなくて……」

「そっか……」


 母親や姉達の言葉を、二人は信じられなかったようだ。

 それは、そうだろう。あの人達が言っているのは、偏見に満ち溢れた意見である。それを信じられなくてもおかしくはない。

 ただ、一つ気になるのは、この二人がここまで真っ直ぐ育っていることである。あの母親の元で、このように育ったのは奇跡といえるのではないだろうか。

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