ある化物の戯言

鍵崎佐吉

 それは誰にとっても、最も身近なものだった。


 ある者にとっては、それは忌まわしい穢れだった。


 それは誰にとっても、必要不可欠なものだった。


 ある者にとっては、それは大人の証だった。


 それは誰にとっても、痛みと傷を知らせるものだった。


 ある者にとっては、それは崇拝の対象だった。


 だがある化物にとっては、飲み物だった。


 化物はだらしなく笑いながら言った。


「O型が一番美味い。蚊と一緒だな」


 蚊にとっては、どうであろうか。


 美味いのだろうか。


 それは誰にとっても、永遠の謎だった。

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ある化物の戯言 鍵崎佐吉 @gizagiza

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