第2話 11月6日訂正

 気づけば彩芽も高校生になっていた。母を殺した父が昨日死んだらしい。結局一度も会うことはなかったなぁ。なんて思いながら今日も学校に行く。画鋲の入った上履きに落書きされた机に一本の花。よくもまあ毎日毎日飽きないものだ。残念ながらこの程度のいじめでめげるほどの女ではなかった。入学してからの一週間は平和だった。ほんとに隠したいことほどすぐ広がる。父は死ねて羨ましいなぁなんて思ってしまう。なぜ犯人の父が死ねて私はこの生き地獄を永遠と味わなければならないのだろうか。そんなことを考えているとドンッ


「あっ、ごめん。大丈夫かい?」


あっ、コケる。と思い、次に来る衝撃に身構えるものの、あれ、痛くない。不思議に思い顔を上げると、身目秀麗、成績優秀、とまぁ私とは違う意味で有名な生徒会長が取り巻きらしき二人を連れて私を抱きかかえていた。

どういう状況だ?何が起こったのかさえわからずにいると、


「修二さん、こいつあれですよ。父親殺人犯の」


取り巻きAが言う。


「殺人犯の子供なんてこいつも誰か殺すんじゃね?」


ニヤける顔を隠せてない取り巻きBである。このセリフももう何百回聞いただろうか。もし殺すならてめぇをまず殺してやろうか。


「うっせえよ。そんなに死にたいなら殺してやるけど?」


まぁ、殺さないけど。こんな奴のために人生棒に振るなんて馬鹿らしい。それに、大体こういうやつらは


「やべぇって。」


慌てて逃げていくからな。殺される覚悟もねぇくせにからかってくるんじゃない。はぁ、次数学だったかな。あのハゲは口煩いから嫌いなんよなー。もういいや、サボろなんて考えながら旧校舎の方へ足を向ける。

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愛してごめん 百鬼 @sakuramothi

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