僕の彼女は魔法使い

Natumegu

初めに 魔法使いの彼女

目が開く。


カーテンの隙間から注がれる暖かさ。

アナログ時計の短針は数字の7のところを指している。


朝だ。


毛布を跳ね除けベッドから起き上がる。

洗面所で顔を洗い、お手洗いを済ませる。

そして体はリビングから流れる美味しそうな匂いへと動き出す。


リビングのドアを開けると、

隣のキッチンでは同棲中の彼女が朝ごはんを作っている。


「おはようー」


彼女からのおはようコールに少し枯れた声でこちらもおはようを返す。


「もうすぐでできるよ。」


そう言ってくれる彼女の隣で僕は、

朝一の水分補給をする。

喉が潤っていくこの感覚は最高だ。

たまらずもう一杯飲む。


「そこ包丁浮いてるから気を付けてね。」


そう、包丁が浮いている。

さっき水を飲んだコップはいま、

浮かばされながら洗剤に包まれている。

彼女が切った食材は吸い込まれるようにフライパンへと注がれ、

ガスの栓は回らずとも、フライパンの下には火が点っている。


なぜこんな人間離れ、現実離れしたことが起こってるかって?

至極単純。

なぜなら僕の彼女は人間じゃないからだ。

故郷もこの地球にはない。

いや、彼女曰く、正確には地球らしいが…。

そこは僕の理解できない領域なのだろう。


とりあえず僕の彼女を紹介しよう。

彼女の本名はハルン・ゼルシュータ。

この日本では春菜 はるん《ハルナ ハルン》という名前で過ごしている。


そして彼女は、

『魔法使い』であるーー。


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僕の彼女は魔法使い Natumegu @Senran

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