ありふれた誘拐

岸亜里沙

ありふれた誘拐

まさか自分がエイリアンに誘拐アブダクションされるとは思いもよらなかった。


深夜の公園を何気なく散歩していたまでは記憶がある。

しかし気付いたら金縛りにあったように、体の自由が利かなくなり、空へと吊り上げられていた。

僕は何が何だか分からずに「助けて!」と必死で叫んだ。

「嫌だ!誰か助けて!」

僕は叫び続けた。

しかし状況は変わらない。


だが、ふと思い出した。

僕は前にも誘拐アブダクションされたような既視感を感じた。

それが夢だったのか、現実だったのか定かではないけど、確かに僕は誘拐アブダクションされたのだ。


暫くして目を覚ますと、僕は無機質な真っ白な空間へと連れて来られていた。

そこにはエイリアンが居た。


やはりこれが初めてじゃない。

僕は前にも確かにこのエイリアンに会っている。

「◆○#*◇★@」

何か喋っているようだが、意味は分からない。

「%*○▼△□#※★」

またエイリアンが何か喋っているが、意味はさっぱり分からなかった。


僕は身動きもせず、ただエイリアンを見つめていた。








「ミーくん、もうウチから逃げ出したりしちゃダメよ。心配してたんだから。でも見つかって良かったわ」


綾子あやこはホッとした様子で、飼い猫に呟いた。

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ありふれた誘拐 岸亜里沙 @kishiarisa

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