英国の霧の中へ

つちやすばる

紅茶の国へようこそ

 ジョージ・オーウェル式(*)に紅茶を飲み始めて早幾数年。これだけ長い間作法に従って飲み続けているにもかかわらず、必ずといって良いほど少しの発見が、毎日あるものだ。

 ところで、自分でもこの文章って、退屈だなと思い始めたここで、もういきなり本題から入りたいと思う。ずはり、紅茶はミルクをさきに入れて飲む飲み物である。ミルクはさき派・ミルクはあと派の老いぼれ達の論争など、はっきりいって完全に無視してよい。一体何を言っているのだ?


 さて、結論も得たことだし、もう少し開放的になってこの文章を続けることにしよう。しかしまあ、人に伝えたいと思って書き始めた文章ほど、この世に退屈なものはないですね。何も普段ひとりよがりに書いていたわけではないのですが。

 政治と違い、確かに伝える義務or答える義務などないのが、文章の魅力だと思いませんか? いつも見切り発車で無理くりケチャップをひねり出すみたいにして文章を書いているあなた。あなたは正しい。きっとあとで読み返してみたら、整然とした文章のならびに、あっと驚くことでしょう。文章とはそんなものなのですよ。


 さてこの「ミルクはさき」の啓示をうけたのは、ほんの一二週間まえのことである。きっかけは単純に無意識でミルクをさきに注いだからなのだが、どうして最も集中すべき茶を沸かすという行為の最中に、そんなにも呆然としていたのかは今となってはわからない。純白のミルクに紅い茶を注ぎながら「ミルクさき入れなんて。ふ。どうなのかな。」なんてことをかすかに思ったか感じたかしたかをおぼろげながら記憶してる。

 想像してみてください。半信半疑のまま、それを口にしたときのまろやかさといったら。ミルク入り紅茶とは、ミルクティーのことだったのですね。そう、この全体のミルク感が、あと派とは格段に違うのです!


2に続く♡

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