第45話 『後宮の烏』1巻を3回、再読しました!
アニメ『後宮の烏』の最新第8話<青燕>が、文庫本の第2巻の初めの章となります。それで、だらだらと書いているこのエッセイも、本の1巻を終了して2巻に突入することにしました。
それにしても、7巻まである白川紺子さんの『後宮の烏』。その語彙を拾うということで始めたこのエッセイも、1巻が終わったところで、45話にもなってしまうとは……。
そのうえに、掲載を始めた時には想像もしていなかった、アニメ放映まで始まりました。このまま『後宮の烏』の物語の展開に沿って書いていくと、かなり長い連載になってしまいそうです。
……ということで、話をもとに戻します。
1巻も最後ということで、1巻の第4章<玻璃に祈る>を通しで読みました。それで、今回の再読で、1巻は最低でも3度は読み返したことになります。
そのうえにマーカーペンで印をつけたり、栞を挟むのがめんどうでページを折ったりしているものだから、ほんと、本は古本屋さんには売れない状態……。(笑)
しかしながら、ここまで読み込んでも、得た知識と情報は私の脳みそからぼろぼろとこぼれ落ちます。悲しいかな、覚えていられません。これが老いるということなのですねえ。(涙)
ところで、前にも書いたことなのですが、『後宮の烏』は皇帝と烏妃の恋物語でもなく、2人力合わせての幽鬼退治のお話でもありません。
しかし、作者の故意かそれとも物語の進行の必然なのか、真のテーマはかなり読み進めないと読者には解りづらいようになっています。
1巻を3回熟読して、何度も「ああ、ここがあの伏線となるのか!」と心の中で叫びました。やはり、速く浅く読み、「面白い、面白くない」だけで判断してしまう読者には、『後宮の烏』の真のテーマはなかなかに伝わりにくいのではないだろうかと思います。
ところで、<玻璃に祈る>に登場する最高イケメンの幽鬼の冰月は、前々回の章でおどろおどろしく登場します。
その登場のしかたがあまりにも印象的なので『後宮の烏』の悪役は彼で、彼と烏后との戦いと駆け引きがこの物語のテーマなのだと、初めは思い込んでしまいました。そうしたら、3章にもわたって登場した彼は、この<玻璃に祈る>であっさりと物語の舞台から退場となってしまいました。
もう2度とその美しい顔を拝めない幽鬼の冰月です。
しかし、3回読み返してみたら、彼は『後宮の烏』の真のテーマにつながる伏線をあちこちに残して退場したことがわかります。
でもでも、3回読み返してみたからわかったことです。
読者の期待を裏切る展開と、読み進めてもなかなか晴れてくれないモヤモヤ感……。
私は白川紺子さんの他の作品を読んだことがないので、これは作者の書き癖なのかと思ったり。それとも謎めいた雰囲気をだすための、作家としての計算なのかなと思ったり。
この書き方で、「なんだ、キュンキュンの後宮ラブストリーではないのか」「なんだ、ハラハラドキドキの幽鬼退治ではないのか」と離れていく読者もかなりの数いるのではと想像しました。
でも、裏切られる期待とモヤモヤ感に引きずられて、物語の沼にずぶずぶとハマる読者もけっこうな数でいるに違いありません。
私もその1人です。
だから、『後宮の烏』はベストセラーでもあるわけです。
中華小説を書くものにとって、 『後宮の烏』は使われている語彙も勉強になりますが、本格中華ファンタジー小説を書こうと考えているものにとって、ストーリー展開そのものの勉強にもまたなります。
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