第38話 高峻・衛青・温蛍・淡海
『後宮の烏』のアニメ放映を前にして、ネットの公式サイトやYouTubeの予告編を見ながら、期待に胸を膨らませている日々です。
アニメに関しての、現在の私の一番の関心事は……。
アニメ『後宮の烏』の内容を、後宮内での幽鬼退治で終わらせるのか、烏漣娘娘も登場して、世界の成り立ちと神々の闘いにまで話は発展するのかということ。
後者だと、後宮の華やかさとその裏に潜む幽鬼退治、そして皇帝と烏妃の恋愛物語を期待して見始めた人たちは、きっと期待を裏切られることでしょう。たぶん、視聴率も下がってくるに違いありません。
私も『後宮の烏』を後宮の謎解きと恋愛物語だと思って読み始めたので、深みを増していく物語の展開に、初めは頭が混乱しました。
しかしいまこのエッセイを書くために読み返していると、白川紺子さんがその後に続く物語のために、用意周到に張り巡らしている伏線に気がつきます。
『後宮の烏』のアニメ放映を機会に、後宮内の恋愛と謎解きだけではない『十二国記』のような世界観を持った中華ファンタジー小説ブームがくるといいなあと、個人的に願っています。
ところで、今回の『高峻・衛青・温蛍・淡海』は、『後宮の烏』に登場する烏妃をとりまく男たちの名前です。
高峻は皇帝で、衛青は高峻にいつもぴったりと寄り添っている護衛の武官で宦官。
後宮では常に2人で行動しています。
華流時代劇ドラマでは、皇帝の傍にいつも控えているのは、小太りの老獪な宦官という設定が多いです。
皇帝の気まぐれや苛立ち、そして皇帝と多くいる妃嬪たちとの調整役もこなさなければならないので、どうしてもそういう設定になってしまうのでしょう。
しかしながら、『後宮の烏』の皇帝・高峻は、妃嬪たちとの夜伽も寵妃一人にかたよることなくまんべんにこなし、子どももまたまんべんに出来ています。そのために、妃嬪たちの調整役は衛青はしなくてもよさそうです。(笑)
……というか、そもそもそういう男女関係のあれやこれやが『後宮の烏』のテーマではありませんので、不愛想な武人の衛青にでも務まる設定となっています。
そして温蛍と淡海は、烏妃の護衛となるこちらも宦官の武官。
温蛍は第1巻で登場しますが、淡海の登場はもう少しあとになります。
高峻・衛青・温蛍・淡海の4人ともに、若くてイケメンです。
当然ながら、衛青・温蛍・淡海の3人は武術の腕も抜きんでています。
アニメ『後宮の烏』の公式サイトを眺めながら、この4人のイケメンたちのビジュアルをあれこれ想像するのも、またファンとしての愉しみの一つではないでしょうか。
ただちょっと文句を言わせてもらえば、
『まだ二十歳前後だろう。きれいな顔をしていた。一重の切れ長の目がとりわけ美しい。頬に走る一文字の傷も、装飾のひとつであるかのように見えた』
と、白川紺子さんが描写している温蛍のイメージが、ちょっと違うかなあ。
まあ、声優さんに命を吹き込まれ動き始めたら、イメージは違ってくるかもしれないと期待しましょう。
最後に、これは70歳のお婆さんの繰り言ではありますが。
中国のなによりも礼節を重んじる後宮の中で、皇帝を含めた男たちの前髪をぞろりと垂らした髪型は、絶対にないだろうと思うのです。それから、男性の結わない髪を背中に長く垂らしたかっこうも、あり得ないと思います。
私としては、鋏を持って、彼らの前髪を切ってしまいたいです。(笑)
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