第15話 髻
№12 ≪
白川紺子さんの『後宮の烏』では、主人公・烏妃の髪型を表すのに、≪
なぜなら、烏妃は魔術を使う時、そのよりどころとして≪髻≫に挿している牡丹の花を使うからです。≪髻≫に挿している牡丹の花を引き抜いて手のひらに乗せ、それに息を吹きかけると、いろいろな魔術の現象が起きるという設定になっています。
この≪
そして、なんとまあ、その大発見に驚きました!
≪髻≫という漢字は、髪という漢字の下に吉という漢字を足したもの。
音読みはケイ。
そして訓読みは、たぶさ・もとどり・みずら。
しかしながら、白川紺子さんの『後宮の烏』では、≪髻≫について、もとどりやみずらではなく、たぶさというルビを振っています。
たぶさは、私の持っていたイメージの通り、髪の毛を頭上に集めて束ねたところ。そして、もとどりもまた、同じ意味。
私の持つイメージとしては、もとどりは紐などで束ねた場所で、たぶさはそうしてできた
時代とともに髪型は変化したので、たぶさ・もとどり・みずらという言葉の境も曖昧となり、厳密な区別をつけにくくなってしまい、同じ漢字の使いまわしでよくなってしまったとか……。
そしてまた、白川紺子さんが『後宮の烏』で、≪髻≫をたぶさとよませるのは、もとどりや
ところで、<髻>のもう1つ訓読みは、みずらですが。
みずらは、古代日本人の髪型の名称。
左右の耳のそばで輪に結った髪型。あの埴輪がしている髪型です。
≪髻≫をみずらと読めば、『後宮の烏』の表紙絵の烏妃の髪型が理解できます。
前回、烏妃の髪型について、『髪を双輪に結いあげて……』とあるので、
……と、烏妃の髪型について思ったことを、2回にわたってごちゃごちゃと書きました。
でも、自分が中華ファンタジー小説を書いているのでこだわったのだけど、普通の読者だったら、≪髻≫がたぶさ・もとどり・みずらかなんて考えることもなく読み進めることだと思います。
『第7話 衫襦・裙・披帛 ≪1≫』で書いたように、読者は細かい名称など気にしないのではないかと。烏妃の衣装と髪型のイメージがつかめたらいいだけではないかと。
でも、書く方は、名称を知っている必要があります。そこのところが、小説を書く大変さですね。
ところで余談だけど、情景や登場人物の服装や髪型の描写を、小説を書く上では必要ない宣言されて、あえて書かない作者さんの小説を、最近、斜め読みしました。
しかしながら、その作家さん。
近況ノートで、「自分の書いた小説を、アニメ化して欲しい」と呟かれていました。となると、ご自分ではまったく想像することもなく書くこともない情景や服装や髪型の具体的な形は、アニメーター任せとなるのでしょうか。
小説家として、手抜き工事をされているような。(笑)
でも、それがいまの、大量生産&没個性、ラノベとアニメの持ちつ持たれつの関係なのかなと思います。
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