第9話 衫襦・裙・披帛 ≪3≫


 №6 衫襦ひとえくん披帛ひはく



 テレビで見る華流時代劇ドラマで仕入れた知識だけど、古代中国(春秋戦国時代から秦の中国統一、そして漢まで)では、衣装は日本の着物のように打ち合わせの上着で、その下はスカートかズボンのようだ。だいたい、司馬遷の史記と三国志までかな。


 そして隋から明までの1000年の間が、女性の衣装は白川紺子さんの『後宮の烏』で烏妃が着ているような、胸もとまで引き上げた裾広がりのスカートにふんわりと羽織る上着になる。あくまで、華流時代劇ドラマを見ていての知識だけど。

 こういう衣装は柔らかくて透けていて女性らしいので、天上の神様の世界を描いた時代不明のファンタジードラマでも、女の神さまたちが着ている。

 美しいので、今のドラマでは、ほとんどの女性の衣装はこの形のバリエーションだ。


 あっ、前回の帯に挟んで垂らす帯飾り。

『後宮の烏』の挿絵を見たら、帯は締めていない。帯なんか締めたら、胸もとからふんわりと広がるスカートのシルエットが台無しになる。みかどの高峻が烏妃にプレゼントした木彫りの魚だったか鳥だったかは、本当に帯飾りだったのかなあ?

 読み直して気がついたら、書き直すことにする。


 そして、時代は中国最後の王朝である清。

 この時代の衣装は特徴的で、今のチャイナドレスの原型となるもの。小さな立ち衿にくるぶしまでの長い丈、そして袖は筒袖つつそでで長いたもとはない。そうそう髪型も特徴的で、宮女たちは大きな作りまげを頭にのせて、それにかんざしなど飾りをいっぱいつけていた。そして男性はいわずと知れた頭を半分剃っての辮髪べんぱつ




 私の書く白麗シリーズの衣装は、一番初めに書いた古代中国初期の形の衣装で、男も女も打ち合わせの上着を重ねて、下はスカートかズボンとした。


 なぜなら、萬姜や嬉児のように、庶民のおばさんや子どもそして老婆が登場するからだ。働き者のおばさんや活発に遊ぶ子どもやまして老婆に、ふわふわと柔らかく透けている衣装は着せられない。『後宮の烏』の烏妃が着る衣装は、若く美しい宮女や富豪の妻や娘でないと着こなせない。


 そうそう、『後宮の烏』の烏妃は銀髪で、時々、それを真夜中にひとり川のそばで黒く染める。でも、あのイラストの衣装で、戸外のそれも川の流れる水で、長い髪を染めることなど出来るのだろうか? 衣装はびしょびしょに濡れ、顔や首まで黒く染まって、あとが大変だ。(笑)


 ほんとうに小説に登場する自分たちの衣装を描き分けるのは、難しい。やはり<絵>に限るなあ……。『後宮の烏』がアニメになるという情報を戴いたので、どういうふうに描かれるのか、いまから楽しみだ。




 最後に、私には絵心がないので、挿絵を描いて近況ノートにアップするなんて無理だと考えていて、「そうだ、縫って、人形に着せて写真を撮ればいいのだ。人形の服くらい縫えるぞ!」と、思いついた。でも家にある、メルちゃんやバービー人形では、雰囲気なんて皆無。


 それで一体が数万円もする関節球体人形を検索して、ついつい、ポチっとしそうになった。ああ、おそろしい……。






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