Sランク冒険者に襲われたので誤解を解きます。

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 《魔装・闇 》【魔霧・酷霧】


【創造項目】


 ・能力:盲目 恐怖

 ・形状:全身から立ち上るオーラ状の霧

 ・発動範囲:体表から80cm

 ・顕現時間:600秒

 ・評価点:1

 

 《DEXIFENNSIBU》15↑《MAGIC DEXIFENNSIBU》30↑《COST MP》90


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 《魔装・闇 》【魔撃・闇突】


【創造項目】


 ・能力:盲目 ノックバック 拳の打点部から闇属性の魔力球を放つ。

 ・形状:腕を覆う漆黒の光

 ・発動範囲:打点部から10~200㎝

 ・顕現時間:600秒

 ・評価点:1


《MATERIAL ATTACK》30↑《MAGIC ATTACK》50↑

 《DEXIFENNSIBU》10↑《MAGIC DEXIFENNSIBU》20↑《COST MP》135


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 《魔装・闇 》【魔蹴・歩越】


【創造項目】


 ・能力:盲目 出血 蹴りに追従する闇の刃を作り出す。

 ・形状:脚を覆う漆黒の光

 ・発動範囲:蹴りの範囲+100㎝

 ・顕現時間:600秒

 ・評価点:1


《MATERIAL ATTACK》50↑《MAGIC ATTACK》100↑

 《DEXIFENNSIBU》10↑《MAGIC DEXIFENNSIBU》20↑《COST MP》180


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 十倍発動だとやっぱり若干消費が減るな!ありがたい限りだけどさ……!



 とにかくこれで……うりゃっ!



 ボゴォッ!



「なっ!上級魔法を蹴り砕いた……!?」



 へー、あれって上級魔法なんだ。いやまあ命の危機を感じるくらいのものはあったしやっぱそんなもんなのかな?



「それにその姿……ようやく本気ってわけね?Sランク相手に随分と余裕ね。」



 Sランク?なにそれ?あれか、冒険者によくある階級とか?それってすごく強いってことじゃ……



「闇魔法、いや、なにか違和感が……闘気にしては魔力に偏りすぎてるし……」



 うーん、なんか考えてるっぽいし今のうちに



 ガリガリ



「だからさせないって言ってるでしょ!」



 うおぉ!?って、あれ、さっきより遅い?



 いやこれ、俺が早くなってるのか?でもなんで?



「……身体強化の魔法?なら霧をまとう必要は無い……だったらあれは一体……オリジナル?まさか魔法創造……」



 いや魔装ですけど。



 よっと



 "急に何をする。そちらの目的はなんだ。あと俺は盗賊じゃないぞ"



 うーん、暗いけど見えるかね?



「……はっ!盗賊じゃない?だったらなぜそんな格好で、血の匂いぷんぷんさせてこんな辺境でこそこそしてるのよ!どうせ仲間がどこかに隠れてたり、アジトがあるんでしょ?もうバレてるのよ!」



 うっわー、これあれだ、自分が絶対正しい!みたいなタイプだ。見た目通りのお子様脳かもしれん。



 "では聞くが、俺が盗賊でないと証明できた場合、攻撃してきた行為についてはどうなる?"



「そりゃまあ、あんたが一般人なら犯罪ね。殺人未遂だし。何?本気で一般人とでも言い張る気?」



 一般人って言われれば違うけどさ。鎧だし。



「だいたいそんな鎧着て、一般人なわけないでしょうがっ!」



 "そちらと同業者、とは考えないのか?"



「冒険者なら冒険者登録の際に支給される登録証を常に見える位置につけているわ。これは規則であり義務だもの。これを守っていない場合は攻撃されたって文句は言えないわ。」



 なるほど、そういう規則があるのね。まあ穴がいっぱいありそうな規則だ事で。



 まず、戦闘をするであろう職業の人間が邪魔になりそう、あるいは動作を阻害、身バレ、弱点になり得るものを常に身につけておかなきゃいけないってのがおかしい。


 それこそネックレスなんぞにしてみろ。掴まれて引っ張られるだけでも致命的な隙になりそうだし。



 他にも、腕輪とかなら、とか言うかもだけど、腕ってのは武器を持つ。つまりよく使う場所。剣とか振ってればすっぽ抜けるんじゃないか?



 というわけで、俺が冒険者なら絶対に登録証は身につけない。鎧だから身につけられないけどさ。



 というかお前さん、登録証、見た限りじゃ付いとらんじゃないか。



 "見たところ、そちらにそれらしいものは見当たらないが?"



「私はSランク。そんな義務はないわ」



 意味無いじゃん。



 "それは本末転倒だな。義務を主張するのであれば例えクラスが何であっても身につけておくべきだと思うが?"



「うるさいわね!私はいいのよ!」



 うん、こいつダメだ、自分絶対主義。あ、よく見たら顔赤いな。うーん、今まで突っ込まれたことなかったから反射的に突っかかったな?あ、目が泳いでる。



 ……子どもっぽいような、そうじゃないような、なんかちぐはぐなやつだなぁ



 "とにかく話をしよう。証明については難しいが、見えるだろう?あそこで女性達が野営の用意をしている。まずはそこで説明をさせてくれ。あと"



「何よ?っていうかまどろっこしいから喋りなさいよ」



 うーん、喋れるならそうしたいけどさ、こっちにも事情があるんだよ。体がないとか



 "喉が潰れていて声が出ないのだ。申し訳ないがこのまま筆談を続けさせてもらう"



「面倒ね。しかし、女性が野営?なんだってそんなことを……まさか、あんたがさせてるんじゃ……やっぱり、盗賊なんじゃない?」



 なぜそうなる……そして武器を構えるな。というかどんな武器だよあれ?鈍器?ハンマー?なんか十字架っぽいな……



 "盗賊ではないと言っている。なんだ、冒険者というのは人の話も聞けない連中しかいないのか?そうならば、お引き取り願おう"



「ふんっ、まあいいわ。たとえ罠でも蹴散らせばいいだけだしね」



 もう好きに言ってくれよ……あー、これが冒険者なの?うわぁ、こんなんなりたくねぇ……子供うんぬんっていうより、頭が悪すぎる……一応、あんた暫定殺人未遂なんだよ?魂だけの俺が殺人対象になるかは謎だけど。



 もう何も言う気……あ、いや、書く気も起きないわ……



「あ、ちょっと、待ちなさいよ!」



 勝手についてこいし……大した距離じゃないんだから……



「あ、あの、な、何か、あったん、です、か……?」



 お?あ、レーテルさん。ん?これってナイスタイミングじゃね?



「む……女?その格好……村人?何でこんな所に……あ、攫われたんでしょ!やっぱり盗賊なんじゃない!」



 …………はぁ



「い、いえ!こ、こ、このひとは……」



「安心しなさい!私が来たからには……」



 ……はぁ……



 よいしょっと



 ゲシッ



「がふっ!?」



 ふぅー、あー、スッキリ



「何すんのよ!」



 "そろそろ、話を聞け"



 本気で睨む。目ぇないけどさ



「うぐっ……なんて殺気よ……」



「え、ええっと……あの……」



 "すまないレーテルさん、説明を頼む。俺はちょっと疲れた。"



 回りをぐるっと見てくる。ほかに変な連中来てるといけないしね



「え、あ、はい!え、いや、ちょっと!?」



 後ろでレーテルさんがなんか言ってるけど無視。ゴメンよレーテルさん。君の犠牲は忘れない!



 …………………………………………………………………………………………



 ……………………………………………………………………



 …………………………………………



 ……………………



「……ごめんなさい!」



 ……こっちの世界にも土下座ってあるのね?



 しかもこの完璧な頭の下げ方、姿勢……こいつ絶対やりなれてるだろう……



「まさか本当に一般人だなんて……だって全身鎧で血の匂いすごいんだもん……」



「そ、それでも、話くらいは聞くべきなのでは……」



「ふぐぅ……」



 これでSクラス……いや、強さで言ったら多分俺なんか目じゃないくらい強い。侮ってくれたからどうにかなったけど、最初っから殺す気だったら死んでたな。いや死なないけど。それでも弱体化必至だな。



「……と、とにかく、私が来たからには安心よ!盗賊の陣地や拠点はどこ?サクッと片付けてくるわ!」



「えっと……」



「気持ちはわかる。わかるわ。でも、必要なことなの、辛いでしょうけど、案内してくれないかしら?」



「えーっと……盗賊は、もういない、かと……」



「それは、もう移動しちゃったってこと?」



「い、いえ、そうじゃなくって……」



 "あそこ見ろ"



「ん?」



 盗賊の幹部連中が縛られている場所を指さす。



「……あれは……?」



 "盗賊だ。残りは大半殺して焼いた。あれは幹部っぽいからとりあえず捕らえた"



「殺した……?だから血の匂いがすごかったのね」



 "そういう事だ。で、案内が必要なのか?そう遠くはない、ここからまっすぐ、一、二時間のところだ。まだ燃えてると思うからわかりやすいはずだ。"



「ふむ、生き残りは?」



「たぶん、十人いるかいないか、だと思います……」



「村の生き残りは?」



「ええっと、それ、は……」


 "それは俺から。村には生き残りはいない。食材や衣服、金目のモノ一切合切奪って、人はここにいる女性以外全員殺されていた。守備兵と思しき兵士も死んでいた。"



「守備兵……おそらくだけど、盗賊討伐の先遣隊ね。数は?」



 "鎧をこうして拝借しているが、正確な数は、盗まれ、鋳潰されていたりでわからないが、十前後だ"



「なるほど……」



 "そういえば、この鎧は返すべきか?防具がないから借りたんだが"



「え?あぁ、そうね……一応、正規の物だしね。返した方がいいと思うわ」



 "そうか"



 ふーむ、それは、まずいなぁ……



 代わりの体になる鎧探さないと……



「……なるほど、事実確認が取れたわ。ほんっとうにごめんなさい。久しぶりに受けた依頼だから舞い上がっていたわ」



 舞い上がっていたって、久しぶりって……



「何よ……Sランクともなれば、依頼なんて滅多に受けないのよ?それに私は本来ここの街の冒険者じゃないし」



 知らんがな



「とりあえずは確認も取れたし、移動しましょうか?」



「え、い、今から、ですか?」



 流石にこの暗さじゃ俺なんかはともかく、ほかのメンツにはきついだろうに、何を言ってるんだこの子供は



「まあ見てなさい……高位位階不死者創造ハイ・アンデットクリエイト……来なさい!グランド・キャリア!」



 ヴァァァア……



「ひっ……あ、あぁっ……」



 おー、こりゃ……やばい、な……



 デカい



 チョーでっかいムカデだ。



 それもただのムカデじゃない。



 骨。骨の集合体。



 人骨なのか動物のものなのかわかんないけど、大量の骨でできたムカデがいきなり現れた。



「さ、これに乗ってちょうだい。あ、安心していいわよ。私が創った子だし、大人しいわよ。馬も載せれるからさっさと移動しましょ」



 すげぇな……こんな簡単に数十人も乗れるような化け物を作るとか。



 しかしだな……



 "事前説明なしにやっていいことじゃないな。見ろ、怯えてしまったじゃないか"



 ガタガタと震えて化け物ムカデを見つめる女性達。中には蹲ってる人まで居る始末。



「え……?あっ」



 はぁー……これ、こいつ、本当に大丈夫なのかよ……



 …………………………………………………………………………………………



 ……………………………………………………………………



 …………………………………………



 ……………………




「そう言えばあんた」



 "なんだ"



「……」



 "どうした"



「ちょっと、返事くらいしなさいよ!」



 あー……そうだそうだ、声でないし、こっち見てないなら文字も見えんな。



「あ、そういえばあんた喋んなかったわね……ったく面倒ね、なんで喋んないのよ?」



 ガリガリ



 "全身酷い火傷に加えて喉まで焼けてしまったからだ"



「ふぅん?その割にはすごく動けるのね?」



 "まあな"



 うーん、良い言い訳が思いつかんな……まあ取り敢えずはこれでいこう



 "それで何のようだ"



「あ、そうそう、そうだったわ。あんた、冒険者になる予定とかって有るの?」



 "一応そのつもりで動いていた。そんな折にこのような状況に遭遇した"



「なるほどねぇ?あんた出身はどこよ?」



 "ニホンだ"



「ニホン?聞いたことないわね……辺境の村か、他国?」



 やべ、思わずニホンって書いちゃった……まあいっか



 "ああ、遠い辺境の村だ"



「なんでまたこんな所に?街道通ってくればもっと早いでしょうに」



 "書いた通り、全身に酷い火傷がある。あまり人目に見せたいものでもない。それに、道すがら金になるようなモノでも、と思っていたんだ。結果、盗賊狩りなんてことになったが"



 いやぁ、盗賊さんがいっぱいなのは驚いたね。まあ同時に金ヅルだーとも思ったけど。



 "それで?一体何のようだ?"



「ああいや、盗賊の討伐なんだけど、私依頼受けてきてここにいる訳じゃない?それで、まあSランクの大物なわけ」



 ふむ、それで?



「私が依頼終わったーって言っちゃうと私が達成した扱いになっちゃうのよね。あんたが盗賊、それも五十超えるような規模の盗賊団を一人で殺ったなんて、まあ誰も信じないわけよ」



 ふむ……まあ、分からんでもない。Sランクってやつが俺の世界の漫画とかの基準通りなら、そうだろうし、ぽっと出のやつが一人でやりましたー、なんて言っても信じられないだろう



「で、私がちゃんと説明したとして、それが一般人だと、報奨金や一部のお金は貰えるんだけど、討伐依頼の報酬とかもらえないわけよ。だから冒険者になる気があれば、正当な報酬をしっかり払えるんだけど、って話」



 なるほど、なんか変な方に持っていかれるのかと思ったぞ。料金持っていかれるとか



「討伐した盗賊のシンボルもちゃんとあるし、人質の証言プラス救出した人間の数、それと盗賊から奪ったものの換金、それに生け捕りの幹部っぽい連中……ざっと見積もっても10万エーリクは行くんじゃない?これに報奨金とか諸々ついて12、3万は行くでしょうね。」



 エーリク?ああ、単位なのね。うーん、日本円でいくらだろう?あ、えー、だいたい銀貨1枚で1000エーリク、日本円だと……1万円か。え、ってことは100万円?



「最下級の冒険者なら、1万あれば2週間は生きていけるし、よかったわね」



 1万って銀貨10枚か。それで2週間前後か。あ、この辺も常識に入ってるんだ。よかったよかった。



 しかし、なるほどすげぇなおい……物価とか日本と比べるのが馬鹿らしくなるくらい安いな……そこそこの宿で朝晩食事付き一泊で3000円前後、銅貨30枚くらいか。いいねいいね!



「あと数十分で街だからそれまでの辛抱ね!」



 お、いよいよ街か〜。この世界初めての街だよ。いやー、楽しみだね。冒険者登録もやって、報奨金ももらって……



 あれ……?



 俺、体ないから宿に泊まる意味……なくね?

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アーマーリバイブ!奪った鎧で世界を満喫! 紫陽花 @9364huhuhu

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