死に神
「死に神」
そういうわけでずっと言い争っていて黙る気配がない。飯を食うか慰謝とまぐわうかしているとき以外は話し通しであった。彼は広告が嫌いで、広告は商品の実際を鈍らせると思っていた。なにかを褒めること、つまり好意を伝えること、傍目にこれに含有されているかに思える気味の悪さは
いかなることか?
まさか称賛が、強くなるにつれその周りを強く否定していくものでもあるまい。
ただし、称賛の醸す「諸君も左様とすべし」「目指すところとすべし」というニュアンスについて肌感覚で共感いただけると思う。
教育に置ける称賛には、こういった全体向上の効果があるという勘違いが普及
している。
称賛はあくまで彼一個体に与えられる褒章であるべきであって、周辺への叱責や相対的な称賛者の権威への効果やに関与すべきでないし、叱責は叱責そのものとして行われるべきだと思う。
叱責そのものは礼儀を伴うもので、発言主体は叱責対象を無視することができないのに対し、称賛による叱責
は発言主体が対象を無視したままで批判が可能だからである。叱責とは自らの意に従わせることを意味するから対象と主体に何らかの関係が必要であり、関係を無視したままの叱責は本来あり得ないのであるが、称賛による叱責は称賛対象と発言主体の関係のみで叱責が成り立つから自らの主張を関係を無視して
敷くことが可能なのである。
詩集 ランドセル細胞 電子版 あけめねす @pinkmapleyokan
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