第56話 いつまでも一緒

 それから三年の月日が経った。


 みんな、それぞれ進む道が別々だけど、よくテレビに出るようになった人もいる。


 真帆ちゃんと澪ちゃんだ。


 メールは、するけど仕事のこととか話をしなかったから知らなかったけど雫がテレビを見ていたら出演していた。


 真帆ちゃんは、小説で最優秀賞でノミネートされるほどの実力を発揮したそうで表彰式の中に真帆ちゃんがスピーチしている最中が映し出されている。


「すご」


「また綺麗になったよね」


 雫が徐に呟いていたので、真帆ちゃんの姿を観察する。

 衣装は、アフタヌーンドレスを着ていて真っ赤な紅をしていた。


「確かに前より大人の女性に成長している……。雫は、可愛い系統だから心配しなくて大丈夫だよー」


 隣には、ソファに雫が座っていて自分のところに雫を引き寄せるように肩を組む。


「怜が、そういうならいいか」


 羨ましいって顔をしてテレビに釘付けで見ている雫が一番綺麗に見えるけどそれは秘密。


 真帆ちゃんの小説が映画化するらしいからその話をしている時に幼馴染に主題歌を任せたとインタビューに答えていた。


「もしかして」


 雫が嬉しそうに自分のところに向く。

 もちろん、卒業前から四人は将来付きたい仕事とか話し合っているから澪ちゃんがなりたい職業も知っている。


 本名は隠してアーティスト名を使って活動しているからこっそり教えてくれた。


 インタビューを受けていたのにちゃっかり澪ちゃんのことも宣伝をしていて微笑まし見ていたらインターホンがなる。


 雫が行くと言ったけど二人で玄関に行った。

 二人で行くからカメラモニター付きのインターホンのやつを見ないで来たから誰が来ているのか不明。


「よっ! 一緒にテレビみてた感じー?」


「ラブラブで過ごしているみたいね」


 真帆ちゃんと澪ちゃんの二人だった。

 来て早々に何を言っているのかと思ったら癖で雫の腰に手を回していたから瞬時に隠す。


 菓子折りを貰って家に入れて集まることが多くなったけど今回は予定のない日に来たから珍しい。


「テレビに出るの秘密にしてたんだけど、もう見ちゃってたの!?」


 真帆ちゃんが、慌てた様子で大画面に映し出されている真帆ちゃんと澪ちゃんを見ていた。


「チェックするようにしてたからねー!」


 雫が、不気味な笑い声をわざとらしく出して珍しく真帆ちゃんが弱みを握られた自分の姿と重なった光景を目の当たりすることができたのだった。


「いやー、それにしても怜ちゃん、家のローン払い終わるの早いと思ってたけどテレビで年収を聞いてそりゃ早いなって思ったよ」


「テレビ出演が、一番多いの怜ちゃんだからね」


 実は、バスケ選手になって結果を残せているお陰で驚くほどのスポンサー契約ができた。

 それに先輩との約束も果たすことができて、一緒のチームでバスケをしている。


 ローンもこんなに早く払い終わるとは思わなかったけど自分に趣味と言えるものがないから貯金するしか方法がないのも関係あるのかも。


 雫も稼ぎがいいから貯金が貯まる一方なので二人の趣味を見つけていこうと計画している。


「結花ちゃんも今ノリに乗っているよね」


 結花は、漫画家としてデビューできてアニメ化の話が来たと報告を受けているからこれからまた大変になるけど嬉しいって言ってた。


 ちなみに結花に秘密にしているがこっそり漫画の単行本を買いに行ったりして本棚に並べてある。

 小説は雫が買い集めているそうで貸してもらって初めて小説を読んだ。

 読むのが苦手だけど真帆ちゃんの小説のお陰で読むのも苦にならなくなったし、面白いから自分用で買ってしまっていた。


 家には、音楽スピーカーがあるけど、よく澪ちゃんの曲を流しては、リラックスしている。

 色んなジャンルを歌っているけど一番びっくりしたのがロックな曲とか悲しい曲など幅広く歌っていたのは関心した。


 こんなに楽しい毎日を過ごしていいのかって思うほど幸せな日々を送っている。


「これからもずっと一緒に連れ添っていきたいな」


「そんなのこっちだって同じ気持ちだから当たり前のこと言わないでよ」


 何度生まれ変わっても必ず見つけ出して雫とまた結婚したいって思った。


                  了

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星が綺麗ですね 行武陽子 @tiroru2kinako

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