婚約破棄を言い渡されたましたが、別にいいですよ?

naturalsoft

別に良いですわ♪

王族主催のパーティーの会場で、シオン・アサルト公爵令嬢は婚約破棄を言い渡された。


「今、ここでシオンとの婚約を破棄させてもらう!」


??

???


シオンは周囲を見渡したが、首をコテンッと横にして?マークを浮かべた。


「えーと、シオンさんていうかたー?いませんかー?呼ばれてますよー?」


呼んでみたが誰も返事をしなかった。


「ええーい!シオンと言ったら貴様のことだ!シオン・アサルト公爵令嬢!」


そこでようやく自分の事だと気付いた。


「殿下、ちゃんと家名まで呼んで頂かないとわかりませんよ?いったい全国にどれだけのシオンさんがいらっしゃると思っているんですか?」


「黙れ!私が婚約を破棄するといったらお前の事しかいないだろうがっ!それに全国ではなく、この会場にシオンはお前しかいないわ!」


「あらあら?この会場にはシオンという名前の御方はクーガ伯爵令嬢様、子爵家子息様など少なくとも4人ほどいらっしゃいますわ。それと殿下たら、そんなに怒りますと血圧が上がりますわよ?」


「ああ言えばこういいやがって!お前のそう言う所が嫌いなんだ!」


「ガーン!そうでしたの!?シクシク………」


シオンはショックを受けた様子で泣き真似をした。


「わかりやすい泣き真似をするな!」


言われてすぐにケロッとして顔を上げた。


「それは失礼しました。それで………なんの話でしたっけ?」


「……………はっ!?俺すらなんの話か忘れる所だった!?」


ってか今、すぐに思い出せなかったでしょう?

ノモ王子は咳払いをしてから再度、指をさして叫んだ!


「お前との婚約を破棄させてもらう!」

「ガーン!なんて事でしょう!?シクシク………」


それはもう良いわ!と、ノモ王子は続けた。


「無論、俺の身勝手で破棄するのではない!貴様はここにいるチィーチ・デカイヨ男爵令嬢を、権力を笠にきて虐めただろう!そんなヤツをこの国の国母にするわけにはいかない!よって、ここに婚約を破棄し、秀才と名高いチィーチ・デカイヨ男爵令嬢を新たな婚約者とする!」


「え゛っ?わ、私は関係ありません…………」


まぁ!


「それは凄いわ!男爵令嬢が王子様に見初められて王妃様になるなんて、なんて素晴らしいシンデレラストーリーなんでしょう!」


どこかズレているシオンの言葉に仲のよい令嬢達は頭を抱えていた。

いや、急に話を振られたチィーチ・デカイヨ男爵令嬢も頭を抱えているのはどうしてだろうか?


「ちょっと!シオン様、何を呑気に言っているんですか!公爵令嬢である貴女は婚約破棄を言い渡されたのですよ!少しは焦って下さい!?」


あら?そう言えば、私(わたくし)が婚約破棄されたのでしたわね。大変ですわ!?


…………大変?どうして大変なのかしら?

婚約破棄されても困りませんよね?


う~ん?


皆さん、何を焦っておられるのでしょうか?

シオンは腕を組んで唸った。


「し、シオン様?」

「えっ、ああ……ごめんなさい。別に婚約破棄されても困らないなーと思いまして」


「「「えっ?」」」


会場にいる人達の声がハモった。


「別に王妃の座に興味ありませんし、殿下が愛するオッパイデカイヨ令嬢と結ばれて、祝福致しますわ♪」


「止めて!私の名前はチィーチです!間違えないで!?だから、あのクソ親父に引き取られるのが嫌だったのよ!名前だけなら問題なかったのに!家名が『デカイヨ』が付くだけで………いっやーーーーー!!!!!!」


何やら地雷を踏んだようだ。

しかし、イブニングドレスで胸を隠しているけど、でかいね!私もそこそこ大きい方だと思っていたけど、チィーチさんは更に大きいですわ!?


肩が凝って大変そうですね。

ホロリッ


「ってか、私と殿下は関係ありません!嫌がらせを受けていたのは事実ですが、シオン様は関係ありません!」


「「「えっ!?」」」


あらあら?

ここは涙目で虐めを訴える所では?

チィーチ令嬢さんは良い子なのね。


「あの~チチデカイヨ令嬢はこう言っておりますが?」

「シオン様!?わざと言ってますの!!!」


チィーチ男爵令嬢は、シオンを殴り掛かろうとして向かったが、シオンの取り巻きの令嬢に抑えられた。


「あの!お気持ちは分かりますが、本当に悪気はないんです!」

「代わりに謝ります!でも本当にシオン様に悪気はないのです!」


『『だからたちが悪いのですけれど!』』


令嬢達が必死でチィーチ令嬢を抑えている間、ノモ王子はプルプル震えて答えた。


「チィーチ令嬢が言ったであろう!虐めはあったんだ!お前が取り巻きの令嬢にヤらせたんだろう!?だから問題ない!」


何が問題ないのかわかりませんが、ノモ王子殿下の片想いみたね。


「まぁ、確かに(私には)問題はありませんね」

「はぇ?」


まさか、同意するとは思ってもなく、間の抜けた声が響いた。


「問題ありません。婚約破棄承りましたわ♪」

「お、おお!わかってくれたか!」


何故か涙ぐんでいるノモ王子にシオンはカーテシーをして、カオスと化したパーティー会場を後にしたのだった。


「えっ?シオン様ーーーーー!!!!でて行く前にここを何とかしていってくださーーーーい!!!!」


いまだにパーティー会場は騒然としていた。チィーチ男爵令嬢は怒っていたし、婚約破棄をしたノモ王子は達成感からジーンとして動こうとしないし、この意味のわからない婚約破棄騒動を見せられたパーティー客はどうすればいいのか戸惑うばかりであった。


そして、しばらくして仕事で遅れてきた国王陛下が強制的にパーティーを終了させて御開きとなった。



数日後──


ノモ王子はあれから廃嫡され田舎の小さな領主を任されることになった。本人は騒いでいたが、誰も助けるものはいなかった。


「これはどういうことでしょうか?」


プルプルしてシオンの目の前にいるのはチィーチ・デカイヨ男爵令嬢であった。


いや、『元』が付く。

目の前にいるのはアサルト公爵家に養女として迎えられたチィーチ令嬢であった。


「貴女には迷惑を掛けましたから、せめてものお詫びですわ」


ニコニコしながらチィーチに声を掛けるシオンに、チィーチは顔をヒクヒクさせながら言った。


「お詫びに私を養女にするのはどういうことなんですか?」

「だって、貴女は男爵の家名が嫌いだったのでは?私の義妹になれば、チィーチ・アサルト公爵令嬢よ♪だれもオッパイデカイヨなんて言わないわ!」

「あんたが言ってるじゃないの!………でもありがとう………ございます」


チィーチは涙を流して俯いた。


「まぁ、貴女には同情するわ。調べたけど貴女に嫌がらせしたのは………まぁ、責めるのは酷よね………」

「そうですよね………」


チィーチに嫌がらせをした令嬢グループは、俗に言うチッパイ派の令嬢達だった。

名前まで強調してどんな嫌がらせよ!バカにしているの!?と、難癖を付けられていたそうだ。

その現場をノモ・カロオ王子が見かけて助けたのだが、余計に話が拗れてしまったのでチィーチ令嬢はその場を逃げ出したのだが、ノモ王子は、勝手に自分に惚れて逃げ出したと勘違いしたみたいだった。


まったく、オロカモノにもほどがあるわね。

だから悪いことしたら逆さまにして吊るされるのよ?


シオンは小さくため息を付いた。


「これで嫌がらせもなくなるでしょう。それより、ちょっとお願いがあるのだけれど?」

「なんでしょうか?私にできることなら何でも致します!義姉様」


シオンはずずっいと、両手をわきわきさせながら近付いた。


「なら、その豊満な胸を揉ませて貰うわね♪」

「………えっ?」


「くふふふっ♪豊満の胸を揉めばその恩恵を受けられるって言うしね♪」

「し、シオン様も十分に大きいじゃないですか!?」


「あら?義姉様と呼んでくれないの?それより、人間の欲望は尽きないものよ♪」


えっ!えっ!?………あ゛っーーーーーー!!!!!!!


お姉様~~~♪♪♪


「うふふ♪可愛い子ね。これから毎日(胸を)可愛いがって上げるわ♪」


こうしてシオンは天然ぽやぽやな性格は計算付くの行為であり、バカ王子の婚約を無傷で破棄できたのも計算の内であった。


「アサルト公爵家の家訓は『突撃』。この国の貴族達は把握したし、そろそろ隣国へ攻め入りましょうか」


国境を守る役職の父親も、国王から守るだけの命令に飽々しているだろうから、後方の敵である貴族達の嫌がらせがなければ、嬉々として突撃するでしょう。


シオンは近々始まる戦争に思いを馳せて甘い吐息を吐くのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

※アサルトとは突撃を意味します。


この小説のネタは数年前に投稿した『メイド神ではありません!冥土神です!巨乳に変身します!(幸せ♪)』


という、ギャグ小説のネタを引っ張って来ました。

宜しければ、そちらもお読み頂き笑って頂ければと思います。



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