第二話 奴との面会

 先日、動力源であるピックラビットを失った俺は悲しみのあまりピットラビットの肝臓を貪り食っていた(ピックラビットとほぼ同種)

「うまいが、やはりピックラビットと比べるとかみごたえがないんだよな…」

朝から動物の肝臓を食うという側から見たら重度の肝臓依存症の俺が今朝いただいているのはピットラビットの肝臓甘味噌漬けだ。

と、食レポはここらでお終いにして本題に入ろう。

ここからは異世界での俺の職レポだ…

俺が今どんな職業についてるのか周りのやつはあまり知らないが、余裕で食っていける職についている。

俺の職業は“冒険者“……ではなく、そのさらに上の“国家直属の冒険者“である。

この二つの職の何が違うのかというと、後者は簡単に言えば国から言われた仕事をこなすだけだ。

例えば、国の騎士が不足している時の補欠や、未知のダンジョンの下見、犯罪者の物理的な処罰(処刑も時々…)などなど、“国家“の雑務をこなす役職だ。

自由気まま(自称)な俺が何故こんな堅苦しい国の犬(は騎士団かもしれないが)みたいな職についたのかというと…先に結論から言うと仕事が少ない月でも高い給料がもらえるのだ。

そのおかげで一応高級と呼ばれる部類のものや食料が手に入るのだ(一話で出てきた肉屋などetc.)

それだけじゃない、街にある各ギルドからも謎の信頼が得られるため、そこらへんからも小遣い稼ぎ程度の仕事だが任せられるほどだ。

だが、この“国家直属の冒険者“(以下“国家冒険者“)は安易になれる物ではない。

どうやってなれるかって?条件は一つだけだ。

それは、A級ダンジョンの単独攻略。

ただ、条件は一つだが難所は5つほど入っている。

まず一つ目、単独攻略と聞いておじけずいて辞める者はここで脱落

そして二つ目、一緒に来る監視係の顔写真(フェイク)が怖すぎて辞める者はここで脱落

さらに三つ目、出口まで入ったものの即踵を返して引き下がる者はここで脱落(残念)

懲りずに四つ目、途中に職員が仕掛けたびっくり箱にビビった者失格(当然)

やっと五つ目、帰るまでに寄り道したら失格(「お家に帰るまでが仕事」という俺のモットーに反するため)

話が逸れるが、実は俺が作った試練なんだが…1〜5の難所は毎年ほとんど突破される…なかなか難しい難所だと思うんだが…(だがダンジョン自体攻略できないものは毎年、山ほどいる)

その試練の受験者の監督を今日務めるのが俺の今日の仕事だ。

ちなみに、監督をする際はスキル“隠密“を使って受験者に見えないように監視する。


「もう、出勤か…」

誤解しないでほしいが別に出勤するわけではない。(まず出勤する場所自体存在しない。あるとしても城)ただ言ってみたかっただけである。

まぁ、何はともあれもうすぐ家を出るのでパパッと支度をした。



俺は家を出てすぐに今日の受験者詳細情報のチェックをすますと顔写真を確認した。


「……こいつ…見たことあるぞ…?」


写真に満面の笑みで写っていたのは憎くむべき相手、我が主食であるピックラビットの肝臓を消滅させた男…その名はデイル・リビンクロス。


「7大魔術師の1人だったのかあのバカ。」

名前だけで判断がつくその知名度は国境を超えているほどだ。

だが、本当に…こいつが7大魔術師だなんて…

「この世界も末だな…」

こんなことを考えながら、1時間後、奴と対面する。




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都会に移り住んだら世界ごと異転してました。 瀬雨☔️ @seusouta

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