都会に移り住んだら世界ごと異転してました。
瀬雨☔️
第一話 異住?俺は移住希望なんですけど…
俺が地元の高校を卒業してそのまま都会に移住する事を親に伝えた時、猛反対されたのを押し切って都会に移住した。
高校の先生が地元で有名な大学に入れる学力だと言われた時も高卒で都会に移住する事しか考えてなかった。
こんなところにずっと居たら…ご先祖様が悲しむだろ?…と俺が納得出来るようにいつも自分に言い聞かせている。
良い大学に入っても、良い企業に入っても、俺が楽しくなければ意味が無い、
…そう思っていた。
…これは自己中な俺に対する天からの罰だ。
社会の理に反する思考を持った俺に神が天罰を与えたんだ。
異世界に来てしまった俺は、今はこれをずっと自分に言い聞かせながら生きている。
「おい!ミナトの兄ちゃん、最近どうだい?」
「順調な稼ぎ具合だ、お宅の肉を買っても生活に支障は出ない…オーク肉150gをくれ。」
「俺はあんたの気分を聞いたんだが…まぁいい、相変わらずで何よりだ。あいよオーク肉150gだ。200ベン頂くよ。」
「ありがとう、ピック・ラビットのレバーを仕入れたらまた教えてくれ。」
「そんなにピック・ラビットの肝臓が好きなのか、へっ、まけてやる、いつも買ってくれるからな。」
「くれるのか!礼を言う。あと、ここらへんの肉屋はここぐらいしか無いから立ち寄っているだけだ。」
「一言多いんだよあんたはよぉ…っていっちまった。」
「やはりレバーはカラナフト村産が一番だな、どこか実家のレバーの味に似てるからな…」
ここに来てから2年…今はあのクソみたいな実家でもいいから元の世界に帰りたい一心だ。
「ミナトさん!この近くでオーク・ドラゴンの群れが見つかったらしくてな!今最寄りの村にその群れが向かっているらしいんだ。」
「!?オーク・ドラゴンは昨日も群れを2つほど壊滅させた報告があったのに…
いや、それより…奴ら確か好物がピック・ラビットだったはずだ…まさか…その村ってどこだ?」
「え?あぁ…カラナフ…なんとかっていう村らしいけどそれがどうかしたか?ってあれ?」
まずい!俺の動力源であるピック・ラビットの産地が潰されるのはまずい…!!
オーク・ドラゴンは1体で容易く村を一つ潰せる…!!
俺の唯一の楽しみであるレバーの甘味噌煮詰めを食せぬのは由々しき事態だ!!急ぎ討伐しなければ!!
「…あの人すごい形相で走ってたぞ。」
「…デートにでも遅れたんじゃない、か?」
(脚力強化!魔力装甲付与!空気抵抗無効化!)
奴らの位置は…ここより少し北の方角の上空を移動している
「間に合うかっ!?」
「後方から何かが近づいてきている…?」
「よう!!」
「!?だ、誰だ…?」
「いゃ〜俺に勝るスピードで移動してる生命体がいたから一発かましておこうと思ったら人間だったとはなぁ!!はっはっは!!我ながら恥ずかしい限りだ!!人間かモンスターか気配の区別がまだ付かぬとはな!!はっはっは!!」
めちゃくちゃ喋るな…この人。
「で、お前はなんでそんな速度で移動しているんだ!!」
質問してるようには聞こえない独特なイントーネーションで喋ってくるのは苦手だな…
「近くでオーク・ドラゴンの群れが発見されたらしくてな、討伐しよ…」
「そうか!なるほど!昨日朝のルーティーンである国境越えランニングと森での100体モンスター狩りのノルマをこなしていたら奴らの2つほど群れを狩ったばかりなんだがな!!雄が発情期なのだろうか!!敵ながらお盛んなこった!!」
「俺は今、全人類の理解を超えるモーニングルーティーンに驚愕しているのだが…」
「お前もやったらどうだ!?眠気が覚めてとても心地よいぞ!!」
「…それ、普通の人に言ったら、遠回しに毎朝死ねって言ってるのと同じですよ?」
「友人に勧めたら帰ってこなくなるほど夢中だったがな…」
「その友人なんでやめなかったのかが、ビックバン以前の空間はどうなっていたのかぐらいの謎なんですけど。」
「…よく喋る青年だな!!」
「あんたには言われたくないな!!」
「…そういえば、もう奴らの群れを通り過ぎてしまったぞ?数分前に。」
「…え?」
しまった…驚愕の情報が多すぎて忘れていた!!
「…む、カラナフトという村が壊滅した、という情報が入ったぞ?」
「……お、俺、の…動力…げ…ん…」
「青年!!大丈夫か!!死んだオークドラゴンのような目をしているぞ!!いや、半魚人の方がこの場合該当するのか?…それとも蛙人間か?」
「う、うるせぇ…」
〜後日の新聞より〜
カラナフト村に先日、北から爆風により飛んできた数百のオーク・ドラゴンにより村が壊滅。国の憲兵長よると「オーク・ドラゴンを爆風に乗せて村に落とし攻撃したものを国家反逆罪に値するとして指名手配にする!!」との事、魔波から犯人を特定し今朝、犯人を確保。犯人は素直に捕まりましたが「国境越えマラソン中、共に走った同士と談笑をしていたのだがたまたま、道中でオーク・ドラゴンを見つけたから蹴り飛ばしただけだ!!」と容疑を否認しており憲兵側は「全く現実的でない事を証言し、しかも単独で行動したと言うような話を都合よく作っている。こんなことが出来るのは国家7大魔術師しかいない。協力者も尋問で炙り出す。」との事、ですが今日の昼、7大魔術師の一人と顔が似ているという捜査官の一言で事件の状況が一変憲兵長はこの事には記者団への発言を控えていました。また…
「…この国も末期だな、こりゃ。」
次あったら俺の動力源を失くした罪であいつの首根っこを掴んで引きちぎってやろう。
俺はここにきてから初めてとても固い決意をした。
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