月に手を伸ばす

きつね月

月に手を伸ばす


 高いところに上りすぎて降りてこられなくなった

 月に手を伸ばす

 しょうがないなあって笑いながら

 月に手を伸ばす


 十月の澄んだ夜 

 月と手の間には何があるだろう

 空気、大気、塵、宇宙、あとはまあ、いろいろと

 想像の力でそのすべて消してしまえば、その距離はゼロになる

 小説、歌、絵、あとはまあ、いろいろと

 世の中にはあるけど、全部がそのためにある

 目を瞑って、開いて、ゼロにする、そのためにある


 目を瞑って、開いて

 ほら、ゼロになった

 

 高いところに昇りすぎて降りてこられなくなった

 君に手を伸ばす

 君は笑いながらその手を取った

 十月の澄んだ夜に唄われた 

 それだけの詩


 そのための詩

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月に手を伸ばす きつね月 @ywrkywrk

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