第4話

「そう…… ですか」

 僕はそうつぶやいなや、彼は対照的に立っていた。 できるだけ戦闘を避けたかった人物だ。

 彼。

 水流タスクは無敵である。

 核はスタフェリアというものの、能力は彼女のコピーである。

 彼がどんな力を持ってして、その力を持っているのか不思議である。

 奴ははにかんでいた。

 無理矢理。

 不自然だからこそ、彼の実態は魔法師まで影響を与えている。

 不自然で、不可解で、不可思議で、不思議な風然である。

 僕はどうするべきか悩んだ。

「アリスはもう戦えないとのことです」

「へえ本当にそう言ったのかよ」

「ええ言いました」

 沈黙が流れる。

「そうか、じゃあどうする」

 なんだテレパシー能力者と会話しているのか。

「わかった」

 短い会話だったことがわかる。

「おたくさあ、どこまで俺のこと知っているの」

 タスクは興味津々なニュアンスで聞いてきた。

 それを僕はなにかの心理戦だと思い、丁寧な言葉を選ぶ。

「だいたいは知っていると思いますよ」

 まるで他人事のようになってしまった。

「やっぱ世界で活躍するとこうもなるもんだよな」

 何を言っているんだ。

 戦うんじゃないのか。

「気に入った。無力化は成功と言うことで」

「なぜアメリカが悪魔アンノーン退治に精を出しているのかわかりますか」

「まあ、力を持った存在がこの地球にいるのが、きにくわんのだろうな」

「そうですか。僕の下僕になったらどう思います」

「お前すごいじゃん、奴は星座占いで動くから注意は必要だけど」

「了解です」

「あと……」

「はい」

「お前に助けられるの予知して戦ってたからな」

「アイツじゃなくて?」

 疑問符が湧いた。

 何を言っているのか。

 僕はしばし考えてみる。

「守刄のことだな」

「名前は知りませんが」

「中年の男だっただろう」

「まあそうですね」

 工事現場にいる作業着を着ていたはずだ。

「守刄は仲裁請負人だ」

「そうだったんですか」

「そうだよ、あいつは俺をやけに気に入っている」

「そうみたいですね」

「あんまりこちらの世界に関わるな。能力者は能力で、アンノーンはコチラガワで、魔法師は魔法師で」

「はい、でも仲間にしちゃいました」

「やっぱまずいわ、身元引受人になるから渡して」

 態度が変わった。

 明らかにこちらに敵意を向けている。

「のちのち使えそうなんですよ」

「ほう」

 弾丸口をこちらに向けた。

 同時に式神を展開する。

 ここの世界だけ、俺以外のものが十分の一速度になる。

「いつもの頼む」

「ラジャー」

 放たれた。

 僕は瞬時にアリスの動体視力を使った。

 そして、右手には御札。

 電撃。

 ダーンッ!!

 とすさまじい音が彼を襲った。

 そしてタスクは倒れる。

「ご主人、アイツは不死身です、なにやっても死なないんですよ」

「わかってる!! 呪詛を唱える。全面ガードしてくれ」

 すると目の前に弾丸が通り抜ける音が聞こえた。 狙撃手か。

 多勢に部が悪い。

「ガード早く」

 ガードが展開された。

 呪詛を素早く唱える。

 そしてこの窮地。

 タスクに致命傷を与えられなくても、呪詛を唱えて、動きをセーブすることに成功したのだった。

 勝てない相手だとわかっていた。

 そして人よけの御札と呪詛をまき散らして、家へと帰ったのであった。


「ただいま」

「承引時君お帰り」

「待ちくたびれたぞ、小僧」

「アリスは良いとして、なんで阿弥陀もいるんだ」

 僕はやれやれと家に上がって、そしてテーブルの前に腰掛けた。

「承引時君が良いって言ったじゃない」

「あ、たしかにいいって言いました」

「待ちくたびれた牛丼はまだかのう」

「お前のせいで食事代が…… ってそれよりも能力者が!!」

「どうせこの件で撤退するわい、ワシにはわかる」占いを使ったのかしらない。「星を見ればすべてがわかる」

「俺が襲われそうになったんですよ」

「まあ私がご主人をお守りしたんですけどね」

「こんなハーレム俺はいやだね!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最強の魔法師、最上級の魔物を従え、スローライフを満喫する模様 ガブリアス @Tosa_Miruku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る