第3話
「畜生よ、お前もワシをいたぶるのか」
こちらを見てのけぞる。
「いいや君を利用する」
なにをするのか。
気づけば夕焼けが沈んだ。
虫が顔に当たる。
「ほう利用するとは……」
「それは、十二支族をしたがえる」
「なんと、貴様がのう」
うへへと笑っていた。
なんだこいつ。
「貴様ごとに仕えるのならまあ死んではいいがのう」
冗談だろう。
あんなに生きることに執着していたのにそんなことはいわないはずだ。
「敵は少ない方が良い、十二支族を従えて、君たちの戦いも、能力者同士の無駄な争いも止める」
お前何人も殺してきただろう。
その問いには答えない。
「いいさ何も言わなくて」
僕は頭を使った。
こいつとの契約は終わった。
死んでもなおその契約は続く。
「まずは身体でも洗え」
きょとんとした眼でアリスは見ていた。
そうして家に着いたのだった。
「マクスウェル、風呂の準備はすんだな」
らじゃーもう入れますよと言ってきた。
「ワシはこんな家族ごっこがしとうない」
そう叫んだ。
眼には涙が写っていた。
「じゃあ俺と入るか」
「服も身体も再生できる」
「便利だなじゃあ風呂はいらないか」
血まみれだった彼女は、クールとつぶやくと、体中がきれいになった。
魔法を使えるようだ。
「この竜脈がいいと判断したんじゃ」
「それで能力者に襲われたんだな」
「あいつらはいけ好かん」アリスはインスタントの牛丼を食べる。「わからんものは削除じゃぞ」
「魔法師もそんな感じだ。能力者一般人から隠れながら、自己の追求、そのためなら悪魔とも能力者とも戦う」僕も牛丼をほうばる。「じゃあ僕をご主人様とおよびなさい」
「いやじゃ、そんなものはいやじゃ」
手をバタバタとさせた。
身体に似合って幼女退行してるのかもな。
「まあいいよ」
水を飲んで一息ついたところ。
「おぬしよ、結局なにがしたいんじゃ」
「せっかく君を手に入れたんだ、道ばたに落ちてたダイヤモンドだよ」
アリスは何を言っているんだという顔になった。
「つまるところお前さんは何が言いたいんじゃ」
「スローライフだよ人生」
僕はキメ顔でそう言った。
アンリミデットルールブックの女の子を思い出す。 もちろんそんなものはない。
というわけで一日が終わった。
運動会だった。
「まさか承引時君、一緒に住む気?」
阿弥陀にそんなことを言われた。
「ほかによるところ無いって」
「じゃあ私も承引時君のところに住む」
「なにそれ、やめてくれへん」
「なんで弱気になるのよ」
「そりゃあ」
「この変態、チンカス、キモい」
「じゃあお前んちの式神回収する」
「じゃあそれで承引時君のところ行けばいいんだ」
「なにそれ、むちゃくちゃだろ」
「あなたの言っていることの方がむちゃくちゃ」
昨日のことか。
眼なんてうるうるさせやがって。
女の子の扱いって難しいなあ。
「わかったじゃあ住民票もあとで変えとくんだぞ」
「やった」
なにがやったなんだか……
やれやれ、これだから女の子は。
それから下校時間になった。
一通りの仕事を終える。
生徒会執行部の俺としては、こんな時間になるなんてまったくサービス残業代が出てもいいな。
でないよな。
それが学校です。
ふざけんな。
まあいいか。
僕は、帰るしたくをする。
「こんな時間に悪いな」
「いいですよ先生」
「襲われるなよ」
「大丈夫ですよ」
「阿弥陀は最後まで残るらしい」
「生徒会長ですからね、たしか一年でなったのってアイツだけですよね」
「ああそうだ、お前も人一倍頑張ってるから大丈夫だ」
「そういえば僕たち付き合うようになったんですよ」
「性別的な意味で?」
「まあそうです」
「できた女は大変だぞ、頭がよく回るからな」
「先生もそんな感じ?」
「そうだ」
「お互い頑張りましょう」
「ああ」
そうやって会話をして帰った。
夜道を歩く。
すると前からこんな時間なのに、前方から歩いてくるものがいた。
「承引時か」
いきなり名字を言われた。
「そうですが」
「お前と戦うことになったらしい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます