余談
元彼との恋愛を思い出すきっかけは、あるドラマとある曲。
それは、婚約破棄されたアラサー女子と家庭に問題を抱える主婦、複雑な恋愛感情を持つ男子大学生の3人から織りなされるドラマである。
そのドラマの中でのキーアイテムは、バイオリン。
私は、元彼と別れてからバイオリンとは無縁の世界で生きていた。
ドラマで久しぶりに対面し、元彼とのエピソードを思い出した。
元彼は、自分の部屋で宗教勧誘を始めると、何かを思いだしたかのように、どこからかバイオリンを出してきた。
「この曲、聞いたらキリスト教の良さが分かるよ。」
アヴェ・マリア
私は、演奏に夢中になる彼の目を盗み、アヴェ・マリアを調べた。
キリスト教に関する曲であり、イエスキリストの母の名前であることが分かった。
曲自体はとても歴史のある曲で、時代背景や考えがあって作曲されたものであることは理解できるものの、元彼に演奏されても全く心に響かなかった。
しっかりとチューニングできていないバイオリン
それは、弦が適切な張り方をされていないということで、
楽器を大切にしている、と自負しているとは思えなかった。
チューニングできていないバイオリンは、元彼と私の歪んだ不完全な関係を表しているかのようで
選曲も、元彼のマザコンぶりをこれでもかと発揮しているように思えて
私は、宗教を避けるようになった。
キリスト教が悪い、そんな風には思えない。
イエスキリストだって、ブッダだって、アッラーだって、神様なりの考えがあって、私たち人間に布教し、それを信仰する選択をしたのも、人間だからである。
私は保育園がキリスト教系だったこともあり、余計に嫌気がさした。
保育園で園長先生や保育士の先生が教えてくれたキリスト教とは、違う空気がしたからである。
私が知っているイエス様の教えは、強制的に人を改宗させるような人間になるな、人の気持ちを考えられる人間になれ、この世に存在するすべてのものに感謝をすることで良き心になる、そのようなことだった。
彼からそのような考えは出てこなかった。
同じキリスト教でも、派閥があるように捉え方や考え方も千差万別だろう。
だとしても、イエス様は人を傷つけてまでキリスト教を信仰してほしいなんて思っていない、そう思える。
私は、保育園のページェントで天使の役をした。
その天使は、聖母マリアを包み込む役で、マリア役の友達を白いふわふわした布で包み込んだ。
大きくなって、天使の本当の役割や意味を知ってからいい役をもらえたと実感した。私は、大切な人を包み込むことのできる女性でありたい、そう思った。
バイオリンとキリスト教 澪凪 @rena-0410
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