サクラ
夏谷奈沙
サクラ
ふわり、と花びらが宙を舞う季節になった。
風に揺られて楽しそうにする君を僕はずっと見ていた。
止まりそうで、止まらない。
力尽きるギリギリまでひらひらと遊ぶことをやめない。
おひさまを一身に浴びて、きらきらと輝いてさえいる。
そんな君を僕はずっと見ていた。
どうしてそんなにも楽しそうなのか。僕にはわからない。儚く散ってしまうくせに。
ふと花びらが僕の頬を撫でる。
それが僕の目の前をひらめいて、受けとめようとすると僕の手を、ふわり。といたずらに躱すから、慌てふためいてしまう。
別に受けとめなくてもよかったけれど、受けとめたくなった。受け止めなきゃ、だめだと、そう思った。
不恰好な姿勢を直して手のひらを見ると、耳元でクスクスと笑い声が聞こえる。
ただの一枚の花びら。
でも、どれよりも大切で、特別な一枚。
サクラ、君がどこにいても、何になっても、僕は君を見つけるよ。
愛してる。
サクラ 夏谷奈沙 @nazuna0343
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