第13話母リーファ

雪の降る夜。愛のない公爵家夫婦の間に私は産まれた。



ベリルローズ家は母リーファの家門であった。


国唯一の公爵家の為社会奉仕活動

に真剣に取り組む慈善家の家門だった故に

いつも公爵家とは思えない程質素な暮らしをしていた。


父方の家門ザタ家は貿易商を営んでおり

手元は潤ってはいたが男爵家だった為

両家は互いのデメリットを補う為に

互いの娘息子に婚約をさせた。


ベリルローズ家には社会奉仕の資金を

ザタ家には爵位を



その娘息子が今の公爵夫婦だ。


私は幼いながら2人は仲が悪いと

気付いていた。一言も喋った

とこを見たことがなかったからだ。



父は私にも目を向けなかった。



きっと私が母に似ているからだと

思った。


ベリルローズ家特有の母譲りの黒髪と

紅い瞳。


けれど私は母と似ているのが

嬉しかった。



母は私に沢山のことを教えてくれた。



文字や計算だけではなく

政治学、経済学、軍事学など

多くのことを教えてくれた。



「今は分からないかもしれないけどいつか必ず役に立つわ。」



この言葉は私が次期皇后として

選ばれることを言ってたのだと

後々分かった。




私に関心のない

父のことは正直どうでも良かった。

母にも私にも何もしないだけだったから。




それに優しく聡明な母が私の傍に居たから。



しかし、幸せな生活はそう長く続かなかった。

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悪女と呼ばれた私は静かに微笑む 琉樹 @light1881

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