第12話穢らわしい笑み


煌びやかなベリルローズの門の前に着いた。


御者にエスコートされ馬車を降りると



「お帰りなさいませ。お嬢様」



汚らしい笑顔をこちらに向け

私を出迎えてくれたのは

散々私を罵ったり苛めてきた

ベリルローズ家のメイド達だった。


…全くもっていい気分ではない。


私は何も言わず家へ入ろうとした。


メイド達が小声で

「お嬢様、何も変わってないのね。」


と言ってるのは聞こえていた。

まぁ、聞こえるようにいったのだろうが。


…来週私が国王になると知っていて

言ってるのだから大したタマだ。


家へ入ると穢らわしい過去が

蘇ってくるようだ。


「おかえり。私の天使[マイエンジェル]ルファーナ。」


この気持ちの悪い声は…


声のする方を見ると義母のマティーネが

階段を降りながらこちらに来た。

後ろには実父である公爵が黙って

私を見定めている。


…マイエンジェルとか流石にキモすぎ

てか初めて言われたし



「ルファーナお姉様!お帰り!」



貴族らしからぬ態度で走ってこちらに来たのは義妹のアニーだった。



とりあえず静かにしとくか…


「お久しぶりでございます。お父様、お母様。ルファーナ、ただいま戻りました。」


挨拶をして世間的には家族である

3人に微笑みかけた。



さぁ、演じましょうか。悪女ルファーナ…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る