終章
第53話 月映祭が行われる。2
いつもよりも歩きにくい。着慣れない浴衣と、履き慣れない下駄のせいだ。
転ばないように、ゆっくり歩いて月映川へと向かう。
今夜は
古賀先生はすごい人だ。私には出来ないことを簡単にやってのける。私だけじゃない。きっと他の誰にも出来なかったことで、古賀先生にしか出来なかったことだ。
だから、私は古賀先生を尊敬している。
変な人だけど。
人が人を救うことは、とても難しい。私は、いつもそれをやろうとして結局出来ない。救いたい人がいるのに、一番近くにいるのは私なのに、いつも何も出来ない。
だから、人を救うことが出来る古賀先生は本当にすごいのだ。
でも、私は知っている。本当は、古賀先生自身が救われたがっているということを。
古賀先生の口から何度も、
古賀先生はきっと真面目な人だ。犯罪行為なんて本当はしたくないし、周りの誰かに関わってほしくもないのだと思う。それでも、古賀先生は屍蝋を作り続けている。それで人が救えるとわかっているからだ。
屍蝋葬はつまるところ、現実逃避でしかない。古賀先生は勿論、私も理解している。
だとしても、現実に依頼人達は救われてきた。私はその瞬間をこの目で見てきた。
翔太さんの屍蝋化を依頼したことで、
いつまでも落ち込んで生きる気力をなくした人や、亡くなった人の後を追ってしまう人が減るのなら、現実逃避の方がましだと、私は思う。
それに。苦しんでいる人の心を救いたいと思い、事実救ってきた優しい古賀先生のことを、否定したくない。
屍蝋葬は間違っていると言った砂河さんは正しいことを言ったんだと思う。屍蝋で人を救おうとする古賀先生は本当は間違っているのだ。間違っているけれど、悪いことだけど、それに構わないだけだ。私も古賀先生も、そんなことはわかっている。これは、なんだっけ、確信犯、というのだったか。
私は思う。正しさだけでは、人は救われないのではないか、と。
救いとは、そんなに単純なものではない。正しいことが良いことで、それでみんなが幸せになれるのなら、こんなに簡単なことはない。だって、正しいことは、誰でも知っているのだから。知っているのに幸せになれないのは、それが救いにならないからだ。
あえて正しいことを切り捨てて、間違ったことで人を救ってきた古賀先生のそばで、私はそれを知った。
そうまでして人を救うことが出来る古賀先生なら、私のこともいつか救ってくれるような気がした。
私もまた、救いを求めて古賀先生のそばにいた。
「古賀先輩、お待たせしました」
露店がいくつも並ぶ川原の隅に、古賀先生が先に来ていた。お祭りなのに、いつもの学校の制服で来ているところが古賀先生らしい。
「別に待ってない」
沢山ある屋台を遠くに見ながら、古賀先生が言う。
「……どこから行けばいいんだ?」
「好きなところから行けばいいと思います」
「俺はよくわかんないから、お前の好きなところに行ってくれ」
私も特に行きたいところはないから、適当に金魚すくいや射的の屋台に古賀先生を連れ回す。
古賀先生は、喜んだり悔しがったり、楽しそうに見えた。
古賀先生は正直だ。感情がすぐ顔に出る。微々たる変化で、春湖や悠之介先輩ほどオーバーではないけれど。
古賀先生が楽しそうだと、私は嬉しい。きっとこの人は、辛い思いを沢山してきた人だ。だからそれ以上に楽しい思いをしてほしい。
ヨーヨー釣りに失敗して、古賀先生が悔しがっている。多分、いつも一緒にいる人にしかわからない、微かな変化だ。努力賞と言われ、おまけに一つもらった古賀先生はバツの悪そうな顔をしている。
古賀先生が、後ろから見守っている私に振り向く。
「よかったですね。努力賞」
「となりの小学生の方が巧いってどうなんだ……?」
「こういうのは子どもの方が慣れていたりしますから」
古賀先生の横でヨーヨーを二つ釣った男の子が、少し離れたところから見ていた両親の元に駆けて行く。父親らしき男性が、子どもからヨーヨーを受け取り、代わりにメロンソーダを渡す。母親らしき女性は綿飴を持っていた。
幸せそうな家族をなんとなく見つめてしまった私の横で、古賀先生も同じことをしていた。
古賀先生には家族がいない。
だから今日は、こんなところに誘って、寂しい思いをさせてしまったかもしれない。
「
「はい? なんですか?」
「お前の好きな飲み物って何なんだ?」
もういない家族の回想に浸っているのかと思ったのに、古賀先生が見ていたのは子どもが持っているメロンソーダの方だった。
やっぱり変な古賀先生にほっとする。
「日本茶です。古賀先輩の家に置いてある深むし茶、とても美味しいです」
古賀先生の黒い瞳が少し大きくなる。
「……なんだ。いつもなんとなく付き合わせてたけど、そもそもお茶でよかったのか」
「はい」
人に気を遣うのが苦手だと思うのに、古賀先生は私の好みなんかを気にしてくれていた。
もしかすると、私がずっと気付かなかっただけで、いつも気を遣おうと思ってはいたのかもしれない。
「それにしても……あの深むし茶の良さがわかるとは、流石は俺の助手だ」
「助手は関係ないんじゃないですか?」
「……確かに、関係ないな」
打ち上げ花火がもうすぐはじまる、というアナウンスが流れた。
「……ここから見えるのか?」
「見えなくはありませんが、みんな向こうの方で見るんじゃないですか?」
川原の上の方――舗装された道までの傾斜に、人が流れていく。みんな、高い場所から見ようとして移動中だ。
「俺達も行くか?」
「はい」
少し急な傾斜を上る古賀先生について行く。浴衣と下駄で上りにくい私は、横歩きでゆっくりと上った。
先に上についていた古賀先生が私に手を差し出そうとして、引っ込める。
自力で上りきり、私より背の高い古賀先生の渋い表情を見上げる。
何も気付いていないと思っていたのに、古賀先生はいつの間にか気付いている。
私が、人に触れられることが怖い、ということに。
でも、古賀先生は何も言わない。触れてほしくないことに触れないでいてくれる。
一つ目の花火が打ち上がる。打ち上げられた音に遅れて、真っ黒な空に光の花が咲く。咲いて、すぐに崩れるように散った。
花火を見ながら、古賀先生が緊張した声で言う。
「……恋、賭けのことなんだけど」
「私の負けです。……古賀先生は、自殺としか思えない翔太さんの、自殺以外の可能性を信じました。私にはそんな可能性は見えなかったのに。いえ、見ようとさえしませんでした。古賀先生はやっぱりすごいです」
古賀先生が複雑な顔をしている。褒めているのに、どうして少し後ろめたそうなのだろう。
古賀先生の仮説が真実とは限らないからだろうか。確かに、はっきりそうだと断定できるだけの証拠はなかった。
私はそんなことは気にしないのに。私は、古賀先生のあの仮説が好きだ。誰もが、自殺という悲しいシナリオしか用意できなかったのに、古賀先生だけがプロポーズという幸せなシナリオを構築した。
私が古賀先生に負けた理由なんて、それで十分だ。
「約束通り、古賀先生に話していないことをひとつ、お話します」
「ん」
ずっと言おうと思って言えずにいたことを、勇気を出して舌に乗せる。
「前に、古賀先生が処置をした謎の二人の子どもがいますよね」
言われると思っていたことと、内容が随分違ったのだろうか。驚いた顔の古賀先生が、花火から私の顔に視線を落としている。
「お、おう……?」
「あの二人をリビングに放置したのは、私です」
古賀先生は驚きすぎて、口を開けたままなんの声も発しない。
「あの日は、父の機嫌がとても悪い日でした」
「おい、恋、ちょっと待て。お前、一体なんの話を……?」
「私が行方不明になった一日の話です」
打ちあがる花火が綺麗な空を見ながら、続ける。
「父はいつも日中からお酒を飲んでいて、あの日、父は誤って二人の子どもを死に至らしめてしまいました。私は父に
「そんな……」
「とんでもなく迷惑だとは思いましたが、古賀先生のところしか、思いつきませんでした。古賀先生なら、いえ、古賀先生しか、なんとかしてくれる人はいないって、思ったんです。せめてあの部屋で生前の形を保っていれば、いつか戻る場所が見つかるかもしれない、と思って……あの子たちがどこの誰なのか、父も私も知りませんでしたから」
本当に、なんて迷惑な話なのだろう。本当はもっと早く打ち明けるつもりだった。
「そのあとすぐに、父は私が裏切るのを恐れて、真野さんの家の小屋に閉じ込めて、そのあとは古賀先生が知っているとおりです。父はあの小屋で私を死なせるつもりでした。だから、古賀先生が助けに来てくれた時は、本当に嬉しかった……」
父は私が死のうが生きていようが、関心がないのだ。都合が悪ければ、いない方がいいのだ。
古賀先生が怖い顔で私を見る。
ああ、軽蔑された。死体の扱いに関して、古賀先生はとても厳しい。古賀先生は、自分勝手に死体を放置した私に落胆している。私は、古賀先生に見限られるのが怖くて、なかなか言い出すことができなかった。
「本当に申し訳なく思っています。古賀先生には関係ないのに、あんなことに巻き込んでしまって……」
俯いて、古賀先生からの罵倒を待つ。
でも、降ってきたのは頭上高くからの花火の音だけだった。
花火が何度か鳴って、それから、短く息を吐く音がする。
「恋、ひとつはっきりしていることは、お前は悪くないってことだからな」
これまでに聞いたことがないくらい優しい古賀先生の声が、耳を叩く。
「自分のせいだなんて思うのはなしだぞ。それだけは絶対だ。お前はあの二人のためになんとか出来ることをしようと頑張っただけだ」
どうしよう。
「俺は、恋の頑張りを認める。……俺に認められたからって、どうなるわけでもないだろうけどな……」
いつも笑っていないと怒られるのに、笑顔の作り方がわからない。いつもは、どうやって笑っていたんだっけ。
あれ? いつも、笑っていた……? 私は、笑えていたのだろうか。笑い方を知っていたのだろうか。そんなもの、本当は何も知らないのに。
久しく感じたことのなかった冷たさが、頬を伝う。
その感触に驚いて顔を上げる。
古賀先生が笑った。
「やっと笑ったな」
優しくて、とても優しくて、神様みたいな顔で、古賀先生が私を見ている。
なにを言っているんだろう。私はこんなに泣いているのに。
それに、この人は自分の影響力がいかほどかを知らなすぎる。
「……どうにでも、なります」
「え?」
「古賀先生に認めてもらえたら、きっとそうなんだって、思えます」
だって、神様の赦しは絶対なんだ。古賀先生の言葉は、いつだって、私にとっては福音だった。
「そ、そうだな」
でも、私はそれに甘えるだけの人間でありたくない。
「本当は、わかっているんです。古賀先生に迷惑をかけずに、父を警察に突き出すべきだったって。でも、助けたいと、思うんです。あんな人でも、ひとりにはできませんから。古賀先生が助けに来てくれた時、私が警察を拒絶したのも本当は父のためです」
古賀先生は何度でもびっくりする。
「私はどうすればいいのか、まったくわかりません。私だけは見捨てちゃいけないんだって、今はそう思うことしか、できないんです。……教えてください、古賀先生。人は、どうすれば、人を救えるんですか?」
目線だけを空に向けて、古賀先生が首を傾ける。
「なら……少しずつ探していくしかないんじゃないか? 今わからないなら、考えて、方法を探して、試して、それを繰り返すしかないんだ。俺はそうやって屍蝋液にたどり着いた。だから、恋の方法も、俺と一緒に探していけばいい」
私も、努力をしよう。救済の瞬間を古賀先生の一番近くで見てきた私なら、いつかいい方法を見つけられるような気がする。
「古賀先生……ありがとうございます」
「うん。恋も、話してくれてありがとう」
古賀先生が次の花火を見上げる。
花火がどんどん打ち上がる。どんどん消えていく。
「俺もお前に話があるんだ。お前にはきちんと話しておきたい」
「なんでしょう?」
「俺、乃亜と一緒にいられるならどんな形でも構わないと思っていたんだ」
打ち上がった花火が、にこにこの顔を描く。それもすぐに消えた。
今度の花火はチューリップだ。咲いたと思った次の瞬間には消える。
私は黙って空を見上げている。
「でも、……こんなに乃亜を好きでいたら、駄目なんだと思う」
穏やかに話し続ける古賀先生の顔を見る。
悲しそうには見えない顔が、打ち上がった花火の明かりでピンクに染まる。
「乃亜はもういないんだって認めるのが嫌で、ずっと目を逸らしてきた。亡くなった人は、どんな形を作ろうと、帰ってくるわけじゃないのにな」
古賀先生が少し笑う。
花火が打ち上がる音が聞こえる。
「俺は生きている人間だから、やっぱり、同じ時間を生きている人間と向かい合っていかなきゃ、いけないんだ。いつまでも幸せな過去の思い出に逃げていたら、生きている人間と向き合えない。自分のことすらきちんと見ることが出来なくなる気がする」
古賀先生は変わった、と思う。恋人が何よりも大切で、屍蝋の存在を否定することなんか絶対になかったのに。
「だから、」
古賀先生が私を見る。
「乃亜と別れることにした」
信じられない言葉を、古賀先生は口にした。微笑みながら、しっかりと口にした。
「……本気、ですか……?」
「ああ。きちんと火葬するよ」
「古賀先生は、本当にそれでいいんですか……?」
一番大切だと言っていた恋人なのに。どうしてそんなに穏やかに別れられるのだろう。
「こうやって、楽しいとか、悲しいとか……そういう感情を共有できるのは、生きている人間だからな」
古賀先生が照れくさそうに笑う。
「今思えば、砂河さんは、乃亜だったんじゃないかな」
「え?」
「生きている人を蔑ろにして屍蝋にのめりこむ俺に、忠告しに来てくれたのかもしれない」
古賀先生は時々変なことを言う。
「これからは生きている人間が、生きている人間を救う方法を探していこうと思う」
最後の花火が咲いて、消えた。
花火終了のアナウンスが流れる。
「では、私は引き続き、古賀先生がその方法を探すお手伝いをさせていただきます」
自分の口なのに、勝手に言葉が漏れた。
過去ばかり見ていた古賀先生が、今度は前を向いて、困っている誰かを救おうとしている。
とても素敵なことだと思った。
その瞬間に是非、立ち会いたいと思った。
嬉しくなって、驚いている古賀先生に微笑む。
古賀先生は私から目を逸らさない。
「……いいのか? 別に無理に付き合わなくてもいいんだぞ」
「無理に、ではありません。私が、古賀先生の助手で居続けることを望んでいるんです」
古賀先生が呆れたように笑う。
「本当に物好きな奴だな……それじゃあ、これからもよろしくな、恋。まずはあの二人が誰なのか調査だろうな」
「はい、古賀先生」
握手ではなく、視線を交差させる。
唐突に、古賀先生の表情が曇る。
「り、
背後から
今日は浴衣で、髪も高い位置で結わえているから、顔を見ないと私だとはわからないんだ。
「
古賀先生に言われて振り向くと、ものすごく驚いた悠之介先輩が私を見て目を見開いている。
「れ、れ、れれれ恋ちゃん?!」
「はい。恋は私の名前です」
「なんで恋ちゃんと理一が一緒に……?! え?! そういうこと?!」
「多分そういうことじゃない」
どういうことの話をしているのかわからないけど、古賀先生が否定するならそれが正しいんだと思う。
「だったらなんで一緒なんだよ?! 恋ちゃんの浴衣姿を独り占めするなんて、お前の彼女はどこだ?!」
「ここにはいない。明日別れる」
「は?! お、俺の敵になる気か……?」
「なんでお前が慌てるんだ?」
「だって……理一かっこいいし! 俺なんか敵うわけないだろ、ばかー!」
「待て待て。久連木は
「え?」
「えっ」
理一先生の言葉に疑問を持った私の声と、驚いた悠之介先輩の声が重なる。
「違うのか?」
本気で勘違いしている古賀先生が不思議だ。
「どうしてそう思うんですか?」
「お前が草加に優しいから」
「私は誰にでも分け隔てなく接しているつもりです」
古賀先生は何か考えているみたいだ。
「……そういえば、お前は誰にでも優しいな」
肩を落とした悠之介先輩は、はっきりと落ち込む様子を見せる。
そんな悠之介先輩の肩を、古賀先生が軽く叩く。
「でもよく考えろ、草加。これまでお前に優しくしてくれた女子がいたか?」
「いない……よく考えなくてもいない……」
悠之介先輩がどんどん落ち込んでいく。古賀先生は、友人を励ましたいのか貶めたいのかどっちなのかわからない。
「だろ? 喜べ。脈ありだ。まだお前は生きている」
「おお……! そうだよな?! まだいけるよな?!」
元気を取り戻しつつある悠之介先輩に、古賀先生が悪い顔で笑う。
「しかしそれは俺にも言えることだ」
「やっぱりお前敵なんじゃんかあぁぁぁぁ……!!」
悠之介先輩が泣きながら走り去る。お祭り会場はすごく混雑しているから、探すのに骨が折れそうだ。
「……古賀先輩と悠之介先輩って、本当に仲良いですよね」
「いや、そこまで良くないぞ」
そう真顔で言う古賀先生は、楽しそうに見える。
短い髪に飾りを施した春湖が手を振りながらやってくる。春湖も浴衣で歩きにくそうだ。
「恋~! やっと見つけた~!」
「春湖、久連木とここにいてくれ。草加探してくる」
「うん、わかった」
古賀先生が人ごみに消えた途端、春湖が顔の前で両手を合わせる。
「遅れてごめん! 恋、理一センパイと二人で気まずくなかった? 本っ当にごめん……せっかく私のために、理一センパイ誘ってもらったのに……」
春湖は本当に古賀先輩のことが大好きだ。私の神様には春湖のような底抜けの明るさが必要だ、と私は思う。
「春湖、このあと私は悠之介先輩とまわるので、古賀先輩と頑張ってください」
春湖がちょっと頬を赤らめながらも大きく頷く。
「……理一センパイってさ、変わったよね」
春湖は古賀先生が向かった先を見ている。
「最初はなんか危なっかしい人だなーって思ってて……今だから言うけど、梨夏のことも、本当はがっかりしたんだ、私」
「え?」
「だって、形が残ってても、会話できるわけじゃないし、結局は梨夏がいなくなったことを更に実感させられただけっていうか」
「……なら、どうして」
春湖の太陽のような笑顔が、夜に光る。
「嬉しかったのはね、本当だったんだ。なんか、ありえないことを頑張ってくれたんだなーって、びっくりした。よく知らない他人のためにそこまでする? みたいな。感動したんだよ。……だから、好きになったの」
春湖は全部わかっていたんだ。
やっぱり、古賀先生には春湖が必要だ。古賀先生は春湖に出会えてよかった。
古賀先生と悠之介先輩が戻ってくる。
春湖が合流して、古賀先生と楽しそうにお話している。
見ていて、よくわかる。古賀先生が楽しそうなのは、悠之介先輩や春湖が感情を動かしてくれるからだ。
人の感情を動かすのは、生きている人間だから出来ることで、生きている人間に感情が動かされるのは、私達が生きているからだ。
「恋ー!」
春湖が呼んでいる。
色々なことがあった。すべてが解決したわけではない。けれど、私は今ここに生きていることが楽しい。幸せだと、心から言える。
その理由をくれた人たちのところへ、これからまざりに行こう。
終
屍蝋葬 あだち @adachik00
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます