白亜の精霊「石追い人の物語」〜夢魔LMの書より〜

愛野ニナ

第1話

☆1「前世からの探し物」



 それは、私の使命。

 此処ではないセカイの、もう既に滅びてしまったけれど、

 私が属していた始まりのセカイとの盟約。



 私のあるべき根源世界の理に関わっていた大切な石。

 それが私の探し物。

 今は色も形もわからないけど、出会えばすぐにわかるはず。

 まだ見ぬ究極のアルカナム。



 この世界になければ時空を越えて、次の世界に探しに行く。

 例えば手がかりを見つけたり、仲間に呼ばれたりしたら、

 今ある全てを捨ててでも、私は行かなくてはならないから。

 だから、ひとつの世界には、長くとどまることはない。



 私は時空の漂流者。

 探す石が、見つかるまで、

 転生を繰り返しては、セカイを渡り続ける。

 …




☆2「光と闇の道標~アメトリン~」



 光と闇が重なり合う刹那を

 永遠にとどめ内包する神秘のクリスタル

 其は道標なり



 昼と夜の狭間の宵闇に

 世界は揺らぎ 異なる次元が交わる時

 混迷の中に 次なるセカイへの道が現る



 太古の時代より其れは在り

 あまねく命がうたかたのように

 生まれては消えてその傍らを過ぎていき

 セカイの記憶を刻み、歴史を見守り

 永い時を超えて在りしもの



 その石はセカイの境界を指し示す

 時空を渡る道標なり

 いつか探し求める究極のアルカナムへと

 我導くだろう

 …




☆3「白亜の精霊」



 黒の森 秘密を隠して昏く

 奥深く 記憶は封じられ

 荊棘の結界に閉ざされた



 月影に導かれ

 辿り着いた白亜の巨石群

 儚き栄華の成れの果て

 月下に朽ちた神殿の痕



 白き石の中 宿りしは

 姿見えざる 精霊の夢

 彼方の記憶 此方の願い



 叶わなかった夢の欠片は結晶となりて

 その煌めきは永遠に

 戦士の魂を求め 此処へと誘う…



 交錯する記憶→重なりあう過去世

 我もまた はるかな昔に戦士だったのか

 契約にて 不死なる魂を持ち

 その使命のため 幾つかのセカイを渡り…



 蘇る記憶の中に

 砕け散る ガラスの摩天楼

 滅びゆくセカイで→→覚醒する女神



 その瞳は深緑のエメラルド

 何処にも無い楽園を見つめている



 薔薇色の指が示す先に

 異なるセカイの扉は開く→

 此処で終わり→そして、また旅立つ

 遥かなる時は巡る

 …









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