防波堤

豚の生姜焼きとビール

私をまるごと包めるくらい大きなあなた

後ろから抱きしめられた時

そのまま頭を撫でて

顎を傾けてキスをした

「なに〜もう〜」

とぼける私にあなたは言った

「今日くらいはええやろ」

今日だけじゃなくてこれからもいいのに

あなたには違う女の人が見えてる

それを私に重ねてる

そして私も違う男の人を重ねてる

「ねぇ、ほんとにかわいい」

そんなこと言わないで

「なぎさ、ほんとにほんとに好き」

「なぎさ、男遊び激しいところも好き」

「なぎさ、かわいい」

「なぎさのご飯美味しい、ありがとう」

「なぎさ、一緒にお風呂入ろう」

「なぎさ、ほんとにいい子だね」

脳にこびりつく甘い声と言葉

私は溶けてなくなってしまいそう

あなたのこと、好きになってはいけないの

お互い違う人がいるでしょう？

一夜限りの甘い夢

いおり、忘れないよ

いおり、幸せになって

いおり、私はいつでも待ってるよ