砂時計

澪凪

砂時計のようにひっくり返したかった

目が合った


その瞬間にハッとした


君は顔を赤らめながらこちらを見つめて


「待ってた」って


「待たせてごめんね」


「遅いよ」


「行こうか」


「あなたとならどこに行っても楽しそうね」


君の手を取り、僕は歩き出した


その手は、冷たかった


「なんで先に行ったんだ、僕を置いて」


君からの返事はなかった


「待たせてごめんね、いま僕も行くよ」


「来たらだめ、あなたはまだ幸せになれる」


空耳が聞こえた


君がそう言うのなら、と


僕は一人で歩き出した

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砂時計 澪凪 @rena-0410

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