第18話「悪夢、吉夢」

ここは遠い世界。一行は拠点の屋敷に無事帰ってきた。

身の回りのことを済ませているともうすっかり寝る時間だ。


十八話「悪夢、吉夢」


リルムと星彦丸は一緒の部屋で寝るらしい。

「本当に仲良しだな、お前たち。」

「「えへへ、それじゃあお休み!」」

二人は楽しそうに部屋に向かった。

「何だか羨ましいようなそうではないような・・・。」

立ち尽くす竜輝にリリアが寄ってくる。

「私達も寝ましょう?」

「え、ああ。んー一緒に?」

「もちろんよ?ギューって抱きしめ合いながら寝ましょう!」

「それはちょっと・・・。」

そうこう言いつつ二人は部屋の同じベットに横になる。

竜輝の上に覆い被さるリリア。リリアは耳元で囁く。

「好き、好き好き好き。だーい好き。すっきー。しゅき!」

「ちょっと、止めてもらえます!?寝れないじゃいか・・・。」

「あら?キャラがぶれているわよ。効果抜群ね!ぎゅー!大好き!」

「ふぁああああ~もうダメ。寝る。」

「釣れないわね・・・。そんな貴方も好き!」

リリアの重みを感じながら竜輝は眠りについた。

暫くして。

(・・・熱く苦しい。そして狭い。何だこれは?この匂いは木が焼ける匂いか?)

そこに悲鳴と怒号が聞こえる。何を言っているのかは分からないが憎悪と思われる言葉が聞こえる。

(隠れているのか?ここは何処だ・・・。これは夢に違いない。早く目覚めてくれ・・・!)どんどんと温度は上がり苦しさと焼ける匂いが高まる。直感的に死を悟ったその直後に竜輝は飛び起きた。

「はっ!はぁ、はぁ。やはり夢か・・・。」

それに気が付いたリリアは眠たそうに言った。

「どうしたの・・・?悪い夢で見たの・・・。お姉ちゃんがいるから大丈夫よ・・・。」

そう言ってリリアはまた眠りについた。

竜輝は何となくだが分かった。先程の夢は・・・。

「リリア、リルム。そうだったのか・・・。」

竜輝はリリアをそっと抱きしめて眠った。闇夜が開けてゆく。

朝、それは突然やってくるように思える。

威勢のいい声が聞こえる。

「朝だよー!お姉ちゃん!竜輝も起きて!起きて!」

「昨日はお楽しみでしたねなんつって!ささ、起きて!」

リルムと星彦丸は今日も元気だ。全く朝から騒がしい。

それに気が付いてリリアと竜輝は目を覚ます。

「おい!うるさいぞ!?もう少し静かにしろって。」

「おはよー!今日もいい天気だよ!竜輝!」

「分かったって!顔が近い!」

確かに星彦丸と竜輝の距離は近かった。

「お姉ちゃん!朝ごはんは私達が作ったから食べて食べて!」

「ええっ、リルちゃんが作ったの!?」

「会心の出来だから食べて!」

朝日の差すテーブルには美味そうな料理が並べられていた。

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「異世界冒険征記~二人の夢魔の幼き王子と煌めきの飛竜~」 Γケイジ @13210987

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