爆乳巨尻JKをイケメンが好きらしいけど背中で語るとか言ってるから僕は言葉と行動で好きを伝えて仲良くなります【コイフレ】

蹴神ミコト

イケメンが相手でも諦める理由にはならない



 僕は図書委員。春風幸太郎(はるかぜこうたろう)


 陽キャではないけど陰キャでは…たぶん無い。クラスでも静かな方だと思う。

 そんな僕の隣で一緒に図書委員をしているのは西野葵(にしのあおい)さん



「それで壁ドンして女の子のリアクションがいいのよね!」

「だよね。壁ドンよりもむしろされた後の反応が尊さとか糖分具合を決める所あるよね。」

「わかる!やっぱり春風くんは話が合うなぁ!」



 元気にラブコメ話をする西野さんはクラスの中心人物。

 男女ともに人気が高く、可愛らしい容姿にサラサラの黒髪ショートヘア。身長は160cm程度なのに胸とお尻は非常に発育の良い肉体を持っている。

 クラスでは僕との会話なんてほとんど無い人気者。高校2年の女の子。

 だけど誰もいない図書館の奥で書庫の整理をしている時だけは僕らは盟友だ。ラブコメトーク仲間なのだ。



「ラブコメは全般的に好きだけど僕はスクールラブが特に好きかな。」

「あ!私も!なろふやカクヨマだとスクールラブ検索しつつの…除外検索でハーレムダークヤンデレ胸糞NTRにしているよ。」

「本当に西野さんは趣味が合うなぁ。僕はそこに除外検索で悲恋を入れるけど。」

「ああーわかる。たまにやるよ。ただ稀に『悲恋にはさせない!』みたいなタグがあるから難しい所なのよねぇ。」



 西野さんとの話は楽しい。なんなら話が無い時も一緒にいるだけで嬉しくなる。こんな時間がいつまでも続きますように。



「あ、そろそろ図書館を閉める時間ね。」

「そうだね。…あれ、筆箱が無いや。教室に置いてきたのかも。」

「じゃあ私が戸締りをしておくから春風くんは先に出てていいよ!教室に無かったら探すの大変だろうし。」

「ありがとう西野さん。じゃあまた明日。」

「また明日書庫でお話しようね!」





 教室のすぐ手前までくるとどこからか声が聞こえた。



「天馬さあ、西野さんに告白しねーの?」

「男は背中で語るんだよ。まずは結果だ。いい大学に合格したら告白するつもりだ。」

「それまでに西野さんに彼氏が出来たらどうするんだよ。」

「あいつの事はなんでも知ってるから大丈夫だ。俺より親しい男なんていないから告白されても断るはずだ。」

「そーかねぇ?まあ幼馴染のお前が言うならそうなんだろうけど。」



 声の主はクラスのイケメン冬川天馬(ふゆかわてんま)。

 西野さんの幼馴染で陽キャで…西野さんの事が、好き、みたいだ。


 冬川くんはイケメンだしきっと大学合格が出る高校3年の冬に…西野さんと恋人になるんだろうな。

 そうか、僕の、この楽しい時間は…高校で終わるんだな…



 そうだ、終わりがあるんだこの楽しい時間には…



 終わり…やだな…もっと、ずっと、西野さんと楽しい時間を過ごしたい…

 高校以外でも、その先も、今だって学校の外だってずっと一緒にいたい…




 そうか、僕、西野さんの事好きだったんだ…





 今は高2の6月。まだ高3の冬までには時間がある。

 この残された時間を今まで通り楽しんで…



 やだ



 この残された時間で



 僕が西野さんと。西野葵さんと恋人になってしまえばいいんだ。




 イケメン幼馴染?知るもんか!

 ラブコメは相手の事を考えて行動に移した人が有利なんだ。

 冬川くんが動かないなら大チャンス。今のうちに西野さんともっと仲良くなるんだ!









 翌日の放課後。

 いつものように人気のない図書館の僕たちしかいない書庫で僕らはラブコメトークに花を咲かせ、僕は機を見て切り込む。



「西野さんってスクールラブ好きだけどさ、憧れは無いの?」

「憧れ?ああいう風な恋愛を高校時代にってことなら…正直めちゃくちゃしたいけど…」

「分かる、僕もそうだから。熱愛したいけど熱愛するほど好きな相手がいないから恋に溺れられないんだよね。」

「それ!ほんとそれ!!やっぱり春風くんは私の事を一番よく分かっているわ!」



 あれ?ちょっとだけ気になる事聞こえた。



「1番?幼馴染の冬川君の方が西野さんの事に詳しいんじゃない?」

「昔のエピソードとかなら友達の中じゃ天馬が一番詳しいでしょうけど、ラブコメとか私の心に詳しいのは春風くんね。」

「冬川君とはこういう話しないの?」

「あいつ恋愛ごとに興味ないみたいだから話してないのよねー。好きな人もいないんじゃないかしら。高校に入ってから距離も感じるし。」



 たぶんそれ好きな子にそっけないけど当事者は気づかないとか、ロマンチックな告白のためにそれまであえてそっけなく振舞っているとかだと思うよ。言わないけど。あ、でも背中で語れてると思い込んでいる可能性もあるか。

 少し冬川君が哀れに感じるけど僕にとっては都合がいい流れだ。



「じゃあスクールラブ好き仲間で春風さんの心に詳しい僕からの提案があるんだけど。」

「提案?」




「熱愛は無くてもスクールラブのシチュエーションって高校時代にしかできないじゃん?だから僕とそういう事をしてみない?」

「えーっと…遠回しな告白じゃないのよね?」

「西野さんの事は好きだけどこれは『恋人みたいなやりとりをする友達になりませんか?』ってお誘いだね。」

「す、好き!?」

「友達かラブコメトーク限定なら親友でしょ僕たち。僕だけかなそう思っていたのは?」

「あああうん!そうね!私も、そのラブコメトークなら親友とか盟友だと思っているわ。」



 事前にこういう内容を喋ろうと決めて覚悟してた僕はハッキリ言えたけど、不意打ちの西野さんは慌てている。こういう時に畳みかけるのがラブコメの勝利パターン!



「だから僕とそういう関係に、コイフレ(僕の造語)になったらこんなことができるよ」



 今日の最後の勝負所だ。頑張れ僕!西野さんを壁に押し付けるように壁ドンをしつつ、股の間に足を置き逃げ場を無くし、西野さんの大きな胸が僕の体に当たるくらい近づいて――



「葵。明日の土曜日にデートしようぜ。来てくれるよな?」

「──────は、はぃ!!」



真っ赤な顔で一生懸命言葉を絞り出すけど、絞り出した言葉に強い意志が載っている前向きなお応えを頑張ってする葵さんが可愛すぎて僕は決壊した。もう無理。

身長は僕の方が10㎝くらいあるので葵さんは真っ赤な上目遣いしてくるしちょっと潤んでいた、無理だってこんなの。



「こ、こんあ感じでお互いに好きなシチュをぶつけ合うのがコイフりぇなんだけどどうかな?」

「うう、あーうう!これやばいね!なろうコイフレ!やばいよもっとやってほしい!」



悶えながら求める葵さん、なんかこういくらでも頑張ってしたくなっちゃうよ!!



「さっきの葵さんの反応100点満点中の120点だったね。」

「そりゃあんなことされたらそうなるわよ!終わった後の春…幸太郎君もすごく良い反応だったわよ?」

「えっ、今名前…」

「私たちはコイフレ、特別な関係でしょ?下の名前でいいじゃない!」



 その日はしばらくしてクールダウンすると、お互いにいっぱいいっぱいになって図書館を閉める時刻に即解散した。

 帰りながら今日の流れを脳内再生で繰り返していたら壁ドン以降に下の名前を呼び始めたのは僕が先だと気づいた。おかげで幸太郎って呼んでもらえたのかも?混乱してた時の僕超グッジョブ!!

 夜にクラスのグループから辿ったのか葵さんからメッセージが飛んできて明日土曜日に本当にデートすることになった。





『葵さん、待ち合わせ時刻に提案があるんだけど』

『幸太郎くん、どんな提案なのかしら』



 メッセージで意味もなく下の名前で呼び合う。付き合いたてのカップルにありがちな些細な事で嬉しくなるアレだ。

 葵さんも同じことしているあたりこういうのも楽しんでくれているのだろう。



『ラブコメの待ち合わせでよく、1時間前とか2時間前から待っているのがあるけどあれ微妙じゃない?だってヒロインがどれだけ楽しみにしているかは伝わるけど可愛いヒロインがデートの気合い入れた服装で、人通りの多い所で1時間待機とか身の危険があるでしょ。』

『中3でAV女優のスカウトが来たことある私からは本当にその通りだと思うわ。』



 今なんかすごい爆弾発言が見えたのでとりあえず2回スクショしておいた。

 葵さんは爆弾みたいな破壊力のお胸とお尻だもんね。顔は可愛い系なのに。



『それで提案なんだけど9時集合で8時55分より前に来てはダメみたいな集合時間にしない?遅れるときは普通に連絡で。』、

『いいわねそれ!早く行けば幸太郎くんのナンパ蹴散らしイベントが見れたかもしれないけど身の安全を優先するわ。』

『身の安全(待たせすぎないようにがメインの提案だった(;'∀'))…普段そんなに身の危険あるの?』

『デートで気合いを入れると15分もすればナンパが1人は来ると思うわ。』





 翌日。

 動物園の最寄り駅が待ち合わせ場所。



「ネエチャンいくら?ホ別4?5?」


「僕の彼女に何か用ですか失礼しますそれじゃ!!」




 3分でナンパ(?)されていた葵さんんを救出しつつ動物園デートが始まるのだった。



「幸太郎くん。助けてくれたのは本当に助かったのだけど…あそこは『俺の女に何かようか?』とかじゃない?」

「一瞬考えたんだけどそれ強気でしょ?腕っぷしのいいキャラじゃないと言えないよそのセリフ。」

「確かに実際はそうなるのね…じゃあさっきの無理やりにでも脱出するのが幸太郎くんみたいな物静かな男の子キャラだと最適解か。」

「壁ドン股ドンの時みたいにケンカにならないなら強気キャラも演じられるけど…荒事からは葵さんを連れて逃げるのが精いっぱいだよ。」

「んんん!女の子だけは守る発言ポイント高いよこれは!」



 初っ端からこれである。動物よりまずはラブコメシチュとしてのチェック。ドキドキするかが採点基準だ。そしてラブコメの待ち合わせの後と言えば



「いつも魅力的だけど今日の葵さんは一段と可愛いね。」

「幸太郎君こそ喋るまで誰かと思うくらい今日はカッコいいわね。こんなに印象が変わるなんて。」

「「照れながら言ったほうがポイント高かったよね今の。」」



思わず笑いあってしまった。こういう所だよ僕らがラブコメトークなら親友って言えるのは。



「そういえばコイフレの事は他の人には秘密にした方がいいと思うんだけどどう思う?」

「…下手に知られるとラブコメのラの字も知らない男に壁ドンされて『こういうのが好きなんだろ?』とか襲われそうだからそれが懸命だと思うわ。」



 本当の理由としては冬川くんに知られないように仲を深めたいだったんだけどそういう面もあるのか。というかもしかして葵さんって結構…



「葵さんってもしかして誰か傍にいないと危ない感じ?」

「学校だと女子グループで纏まっているのも、まあそういう理由ね。これでも結構告白されるのよ?」

「僕も葵さんとラブコメトークしていると楽しくて居心地がいいから一緒に居たいって思う。告白する男たちの気持ちも分かるなぁ。」

「……や、やめましょうかこの話!さあ動物見るわよ!」



 これはラブコメだと必須の知識なんだけど。

 葵さんのように発育のいい女の子は体以外を褒められることに弱い。ただそれは普段から下品な目で見られすぎているからちゃんと内面を褒められるのが嬉しいって理由なので…喜んでもらえるってことは普段が…

 ちゃんと言葉にしたり、行動で葵さんは魅力的だよって伝えてあげたくなった。



 ぐるーっと園内を2人で回って、そろそろ帰ろうかとお土産コーナーへ。



「幸太郎くん!今日の記念にペアストラップでも買う?お揃いはラブコメの定番でしょ。」

「お揃いは負けヒロインが気づいて『あいつら付き合っているんだ!』って周囲に関係がバレる展開もあるから人に見られない家に置く物なら賛成かな。」

「場を荒らす事で関係性が前に進む展開あるよねー。周囲からの見る目に負けずに覚悟が決まったりとか。」



 そんなことを話ながらティラノサウルスを威嚇するミナミコアリクイのサイズが逆転した小物をお揃いで買った。そして動物園の出口に向かって歩き――



 ん?あれ?やばい!

 僕は葵さんの肩を掴んで胸の中にしまい込むように隠す。



「ふぁ!?」

「クラスメイトが居た、気づかれたらコイフレのこともバレるからこのままでいて。」

「んぅ……」



 見かけたクラスメイトは小さな男の子を連れた女の子。葵さんとよくいる人の1人だった。僕は気づかれないかもしれないけど葵さんの顔が見られるとバレてしまうかもしれない!クラスメイトが動物園から出て行ったことを確認し、葵さんから手を離す。



「葵さん、もう大丈夫だよ。…葵さん?」

「……あ、うん。い、今のはポイント高いわよ、不意に女の子を守るために抱き寄せ展開いいわよね、うん。」

「あの葵さん?もう離れてもいいんだよ?」」

「あっ」



 僕の胸の中にいたことを忘れていたのか指摘され名残惜しそうに…いや気のせいだろう。妙に時間をかけて葵さんは離れた。…待て、僕は高3の冬までに葵さんと出来る限り仲を深めるんじゃなかったのか。ここは攻め時なのでは?

 いやでも判断を間違えて踏み込みすぎるとパーだ。




 よし、攻めて反応がアリか無しか見よう。



「あのさ葵さん。」

「えいっ!」



 なんと葵さんから腕にしがみついてきてくれた。え、なんで。



「もう抱きしめられちゃったならあれより恥ずかしいことなんてもうないよ!だから…う、腕組くらいいいよね。」

「う、うん。いいんじゃないかな。トラブルを乗り越えて触れ合いが増すとかすごくラブコメっぽいし嬉しいよ。」

「私も…気分良い…」



 赤くてうつむきがちのまま、帰るはずだった動物園をもう一周した。

 見尽くしたはずなのに最後の1周が一番楽しかった。






葵side



 はあ、この間の動物園楽しかったなぁ…

 先週土曜日にラブコメ友達、いやコイフレの幸太郎くんと動物園に行ったことを何度でも思い出してしまう。

 オシャレして男の子を待ったのも初めて、ナンパから助けてもらって動物園デート。

 クラスメイトから隠れるために抱き寄せられて温かくてほっとしてドキドキするぬくもりが忘れられない…

 やっぱりスクールラブ単独ヒーローヒロイン物は大正義!イチャイチャを真似するだけでこんなに幸せな気持ちになれるなんて!


 これはいつか幸太郎くんにお礼をしなければ。

 どんなお礼が良いかな?やっぱりラブコメの定番が喜んでもらえる?となるとバレンタイン…は来年だし、手作りクッキーとか手料理とか手作りのお弁当とか?

 私料理できないからなぁ…うーん、メシマズキャラはいいんだけどメシマズを自覚しないキャラやメシマズで人を不幸にするヒロインはちょっと…っと脱線した。

 分かった、これは『お礼を決めるために一緒に買い物に行こう』だ。これは高得点の回答ね、自信あるわ!


 ふふふ、次のデートはショッピングね。幸太郎くんは喜んでくれるかしら。



「じゃあこの問題を…西野。」

「はい、リアス式海岸です。」



 っと危ない。社会の問題はクイズみたいなものだから直ぐに答えられたけど数学だったら無理だったわ。

 あれ、私もしかして授業中にずっと幸太郎くんの事考えちゃってた?あれ??


 後日。ショッピングモールでデートを楽しみつつ。『なんでこういう場所でのラブコメデートってヒロインが拉致られやすいんだろうね』と話ながら盛り上がった。ラブコメ全体で見ればそう多くは無いけどクーデレ同棲ヒロインくらいには見かけるわよね。





幸太郎side



 コイフレはあくまでも仲良くなるのが目的で恋人になったわけじゃない。

 だから、誘っても断られる可能性はある。勇気を出して僕はずっと誘い続けた。



「夏休みだね葵さん。一緒にプール行かない?」

「プールだと顔見知りに会うかもしれないからダメ。ちょっと遠い海ならいいよ。ちゃんと守ってね?」


「夏祭りだね葵さん。お祭りとか花火はどう?もちろん隣県の。」

「終電までに帰ってこれるなら大丈夫。でも家までちゃんと送ってね?」


「体育祭だね葵さん。気合いが入っていて応援のし甲斐があるよ。」

「運動は得意なの!借り物競争に選ばれなかったから憂いなく走れるわ!」


「クリスマスだね葵さん。あの、今日って…」

「今日は家族とクリスマスパーティーがあるの。だから…幸太郎くんも来てくれないかな?」




「あのさ葵、コイフレを初めて10カ月。高校3年生に上がったしさ…もうやめよっか。」

「そうね幸太郎。これからは恋人ね!」




 そういうことで恋人になった僕らは堂々とすることにした。

 コイフレはバレたら『恋人でも無いのにイチャイチャする頭おかしい人』ってレッテルが付く可能性があった。

 下手をすれば葵がビッチ扱いされちゃうし。誰かに変なちょっかいをかけられるかもって心配もあった。


 でも恋人なら逆に関係が知られるほど葵にちょっかいをかける男はいなくなるんだ。

 まあ、僕が最初に隠そうとした理由は冬川くんって葵の幼馴染のイケメンに秘密にしたかったからなんだけど…恋人になってからその事を話したらね…



「天馬に私を取られると思った?いや、天馬は『男は背中で語る、沈黙は金』ってタイプだけど私はたくさん愛を囁いてほしいから相性が致命的だし付き合うとかちょっと…」



 脈が無い上に高校に入ってからそっけない態度だったからコイフレになる前の僕の方がすでに好感度高かったんだとか。でも僕は勘違いでも葵と仲を深めようとして良かったよ。だって行動したから恋人になれたし、高校のうちからイチャラブできるんだもの。



「じゃあ幸太郎!一緒に帰ろっか♪」

「うん、おいで葵。」



 そういうと葵は僕の腕に絡みつくように腕を組み体を寄せる。帰りのホームルームが終わった直後の教室で。










「「「えええええええっ!!」」」



 クラスに起こるざわめき。葵はモテるからこうなると思った。でもこれならすぐに学校中に広まるだろう。

 周知されてください。葵の隣は僕の場所です。



「あの、葵?もしかして…付き合っているの?」

「うん。私の恋人の幸太郎だよ。」

「「「あんたいつのまに恋人を!?」」」



 クラスで葵と一緒に居るグループの女子に僕と葵は囲まれて質問攻めにあう。

 『釣り合わない』って言われることを覚悟していたけどコイフレ時代からの話をしたらめちゃくちゃ羨ましがられた。



「そんなラブコメみたいなやりとりができる高校生活とか羨ましすぎるわよ!!」

「春風君がラブコメ大好きなの意外だった!」

「いいなぁ!ラブコメに理解の深い彼氏いいなぁ!!」

「あああ動物園のそれ私と弟じゃん!気づけよ私!抱き合うとこ見れたのに!!」


「見せてあげようか?ほら、こーたろー?」



 分かる。この流れで見せつけるように抱き寄せるのが一番嬉しくて恥ずかしくて幸せなラブコメの形だから。

 なるべく見せつけるために葵を救い上げるように、お姫様抱っこだ。



「「「きゃああああああああ!!!」」」

「お姫様抱っこしてほしいって言ったらここ3ヶ月筋トレばかりしてたんだよ幸太郎。」

「「「こんな彼氏が欲しい!!!」」」



 葵と親しい女子の中心グループだけじゃなくクラス中の女子から黄色い悲鳴があがる。

 男子は最初妬ましがったけど女子が僕を褒めるごとに諦めていったみたい。

 武士の情けで冬川くんの方は見ないようにした。



「葵、幸せになろうな。」

「うん、幸太郎大好き!」


 お姫様抱っこのまま頬にキスをされて黄色い悲鳴が更に大きくなる。

 好きな人と一緒にいたくて行動してよかった。今凄く幸せです。




 なにげに僕も葵も成績学年トップ5だったので2人で一緒の大学を選んで。

 上手いこと企業して。子宝に恵まれて幸せな家庭を築きました。 おしまい。

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