不出来な世界へ告げる言の葉
@MaoSyanPuu
本文
ゆらりと流れる雲
その中で揺蕩うひとひらの私
まだ見ぬ未知なる鳥の声に
寄り添うように窓辺を離れる
木々の下にもれる木漏れ日は
鮮やかに朝をふちどる
手にしたティーセットを広げ
ジンジャーブレッドにチーズをのっける
甘い時間が始まりを告げ
小川の滝があざやかなレインボーを作り上げ
霧の中に溶け込んでいきそうなほど魅惑的で
ドキドキと心が音を立て脈打つ
不思議な朝が舞い降り
とりとめのない地球が今日も私を包む
ほんのりと過去を思い浮かべ
命の灯篭を滝に放つ
それは空をかけあなたのもとへ行く
いつか私も…
なんて考えて今いた世界を思い返す
あなたが生きた世界だからあなたと笑いあえた世界だったから
とどまらず進もう
とどまらず前を向こう
そしていずれ時がきたらあなたのもとで泣こう
それまでは
それまでは…
心の隣にあなたを感じながら生きていく
悲しくなんてならないくらいに
生きた証をたくさん残していく
そしてまたあなたと共に舞い降りた世界で
今度こそは終わりない話をしよう
どこまでも続き
どこまでも響く
終わりない物語を紡ごう
風に靡き
夢にうなされても
どんなに黄昏ても
あなただけは一生の贈り物
失ってもなんどでも探していく
消えさっても面影を追いかける
終わらないと誓い合ったあの時の二人は
今でも生きている
とこしえのピアノの音
懐かしく聞こえたリズム
世界の端々に散ったあなたの後を集めて
おおきなしゃぼんにして
飛んでいく
それは天に咲く花をつかんで
ふわりと香りたち
地まで降り立っては
あなたのありかを照らす
夢を見るように儚く
起きるたび残り香がする
どこまでも果てしない世界で
私はあなたのもとを離れることはない
たとえ天と地で裂かれようとも
心という最後の砦があるから
なんども再開を予感させる
あなたが最後に見た走馬灯の話を聞くまで
あと何日だろう
私はどんな走馬灯をみるだろう
互いに打ち明けあって
終わりに見る最後の景色の話をしよう
きっとあなたであふれかえっているだろう
あなたは趣味の車の事ばかり思い浮かべるかもしれないけど
ふふ、楽しみ
運命はどう進み
どう転じるのか
まだわからないことだらけ
だからこそ強くなくちゃ
あなたばかりで生活もおぼつかないけど
涙だけはかたずけられそうにない
ふとした瞬間に生きてるあなたを感じて
書斎を覗くんだけど
やっぱりいないって
うなだれて
涙がこみあげる
胸が締め付けてくる
形のない痛みに
どうともできなくて
ひしゃげてしまう
どうかこんな私にもう一度あなたという贈り物をください
そうしたらそれ以外何も望みません
ねぇ神様
居るんでしょ
なら答えてよ
天に運ばれた理由を聞いてもいいですか
まだ私には早い場所なんですか?
わからないです
まったくわかりません
始まりと終わりがあるのはなぜなんですか
一生好きな人とずっといたいって誰もが思うはずです
それなのに
どうして
私たちに命を宿してくれたこと
感謝しています
だから知りたいんです
別れを作った理由を
別れなければいけない理由を
まだ私は整理がつきません
めいいっぱい考えたけど
心がさみしさに溢れています
あふれかえって
心がくしゃくしゃになっています
雨にぬれてもいいから
空を見ていたいです
あなたがいるなら
灼熱の太陽光の下でも
荒れ果てた荒野の上でも
波だった津波の中でも
あなたの名前を何度だって呼んで
呼び覚ましにいきます
私に足りないことがあるなら
なんだって身に着けて
すぐさまあなたのもとにかけつけます
だから神様
ヒントでもいいです
教えてください
どこだってどこだって
いけないところはありません
悲しみに泣き続けるなんて
そんなこと誰も望まないはずです
希望が光があるはずでしょ
教えてよ
全部全部わけあって考えませんか
神様
このままじゃあまりにも不出来な世界でしょ
だから一緒に変えませんか?
天と地をつなぐ架け橋を作りましょ
そしてみんなでご飯でも食べましょ
おいしいって
些細な幸せを感じながら
与太話やからかい話して
長く楽しく永遠に生きましょ
それはほんとに素晴らしいことでしょ
楽しいことでしょ
明るくなれることでしょ
生きとし生けるすべてのものに
生だけを与えてくださいませんか
生き続ければ
どこまでだっていけます
夢だって100個くらいできて
楽しくなるはずです
生きたいです
生きたいです
もっともっと生きて
なにも手放したくないです
この願いが届いていることを願います。
不出来な世界へ告げる言の葉 @MaoSyanPuu
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