第43話【最終話】

正直ここまでかなり美談で語ってきた。

実際には書けないことが多すぎて、空白の期間にしている部分もかなりある。

『事実は小説より奇なり』という言葉があるが、本当にその通りで、人生は想像をはるかに超えてくる。


ここまでの話で僕が伝えたいのはこの4つ。

【1・考えすぎるな。心が荒む。心の病は手術では治らない。】


自分が不安に思っていることは、99%大したことがないのに1人で悩むから解決せずに問題がドンドン大きくなってしまう。

心の問題は本当に長い付き合いになる。

だからポジティブに、毎日笑えるように生きよう。

そして、1人の時間が好きなのは良いけれど孤独はダメ。

人は人と話すことでもストレスが軽減されるらしい。


【2・若いからといって飛ばすと、後でガタが絶対に来る。】


僕は高校の体力測定でも上位を取っていたほど体力には自信があった。

けれど『先輩の仕事を後輩がやらなければ』といって人の何倍も仕事をしたり、腰が低く真面目な人ほど本当に危ないと思う。

自分では気が付かないが、すみません。すみません。と言っている間に自己肯定感をドンドン下げてしまっている。

そこまでしなくても大丈夫だよ。みんなもっと適当だから。


【3・金は友達から絶対に借りるな、金融機関からか身内から借りろ。】


友達に借りて返せなくなると友達を失う。

若い時は1人の友達の大切さに気が付かないだろう。

友達を大切にしていたら、自分が何かをやろうとしているときに友達がその道のプロになっていたりすることがある。その友達が力を貸してくれたらどれだけ心強いことか。

3万円借りてその友達を失えば、計り知れない利益を失うことになる。


その点、消費者金融から借りて何百万になっても国の救済制度を使える。もちろんそれを目的に借りるのは良くない。ここで、言いたいのは会社か友達かで人生まで変えてしまうことだ。親に借りて親と縁が切れたとしても心残りはあるが、自分の人生に必要なのは親ではない。(感情論を抜きにして。)

それほど友達が大切だと身に染みて感じた。


4・【気になることを後回しにするな】

僕の場合は病院に行けないというだけでかなりの不利益を被った。

体の不調が気になったらネットで調べず、すぐ病院に行く。

歯が痛かったら、すぐに歯医者にいく。

なんでも後回しにすると、もっと早く行けば良かったと後悔する。


こうして、病名が分かればそれに向かい治療ができる。

そう思っただけでも気持ち的に少し落ち着いた。

そして、先月は5,6年ぶりに夜に寝て朝起きる生活を1か月続けられた。

気持ちの波は安定はしないので薬と上手く付き合っていくしかない。


この約4年で行った病院は12件。

回数は数えられないほど行った。


おかげ様でこの数年でいろいろな医療関係者と話す機会が増えた。

その多くの先生が「最近若い男性の精神疾患が増えているねー」と言っていた。

今後もいろいろな背景から精神疾患の人が増えるとも言われている。

そんな時に周りの人と助け合える世の中だったらいいなと思う。


「バカは風邪を引かない」という言葉をネットで調べると、出てくるのは「バカだから風邪を引いても自覚をしてない」という事の例えだそうだが、先人が伝えたかったのは『人の痛みを自分に置き換えて考えられない人や、誰かの気持ちに寄り添わない人の事をバカと呼び、そういう人は心の風邪を引かない(病まない)』と伝えたかったんじゃないかなと思う。


僕も昔はバカだったのかもしれない。ここまで辛いならバカのままが良かったのかもしれない。と考えたこともあった。

けれどこの世の中【我先人間】が多く自分が良ければお構いなしという人が多い気がする。そのことを思うと人の事を思っている自分も嫌いじゃないなと思う。


これは「僕は人の事を考えています。」と自慢をしているのではない。

考えたくなくても考えてしまうから本当は苦しいのだ。

ニュースや映画を見ても異常に感情移入してしまったり、20年以上前に相手に言った言葉を思い出しては何回も後悔する。

文章にしたら本当に小さいことに思えるが、寝てる時も夢に出てくるほど常に何かを考えている。


だがこれも性格によるのだろう。

僕の数少ない親友で教師をしている友達がいるのだが、人の気持ちも考えるし誰よりも優しいし、色々な考えを持った人間だ。

そんな人でも熱が出たことなければ嘔吐すら人生で1度もないという。

学校も常に皆勤賞。そしていつも快眠で快便らしい。僕からしたら鉄人だ。

嘘をつく人間ではないので事実なのだろう。


脳や心の処理能力の差とでも言えばいいのだろうか。


僕は将来貧しい国へ行って学校を建てるぞ!と小学生の時に言っていた。

戦争の授業になれば命の大切さを胸に刻み込んだ。

身の回りの大切な人も失った。

そんな僕でもこの数年、あまりの苦しさに考えてはいけないことを考えたことは何回もあった。


―人は何のために生きているのだろうか。

―自分が生きている価値はあるのだろうか。

―このまま笑わない生活がずっと続くのだろうか。

そんなことばかり考えて生きていたら苦しいんだよ。


人間が生きている意味を考えても正解はない。

あるとしたら誰かの力になるために生きている。そう考えよう。

自分の為ばかりを思って生きているからしんどいんだ。

まずは自分の周りの人から幸せによう。

そして今までお世話になった人に10倍返しのお礼をしに行こう。

僕の生き方は『誰かの為に生きる。』に変わった。


―誰かかが言った。

『心の病は気持ちの問題だ』と。

若いとき僕もそう思っていた。

だが、自分が患ってみて初めて気付かされた。

気持ちでなんとかなれば、病院なんかいらない。

気持ちではどうにもならないとゆうのを本当に実感した。


―誰かが言った

『人生は楽しいぞ!難しく考えるなって!単純に生きようぜ!』

人生は楽しいと思い込んでいるから、壁にぶち当たった時に苦しい。

SNSなどで、キラキラしている友人を見ると羨ましい反面、自己肯定感が劇的に下がってしまう。

そもそも単純に考えられる性格でないから苦しいのである。

ポジティブな方が長生きするというのは間違いないだろう。


みんなそれぞれ辛い悩みや、どうすることもできない不安を1つは抱えて生きているだろう。

それでもみんな必死に生きている。一生懸命に生きている。

誰かの心配をしている場合じゃないんだ。

けれど、互いが互いの事を思い行動できる世の中になり、みんなが生きやすい世の中になれば良いなぁと思う。


こうして僕は西陽の強い部屋の片隅でスピッツの「夕焼け」を聞き流し、執筆している今日この頃であった。

                      

————————————————完


※この物語は誰かを傷つけたり、何かを否定するものではございません。













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自律神経出張中/バカは風邪を引かないの本当の意味 リョウ @r-_-kasumi

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