第42話【最終地点】
もうこれで原因を突き詰める病院めぐりは終わりにしたい。
その思いでリュックを背負い、これまでの病院の検査結果や服用してきた薬が記載されている紙をファイルにまとめて持っていき、伝えたいことはメモ帳に書き留めた。
病院を選ぶ段階で1つの疑問がでた。
【心療内科】と【精神科】の違いは何だろう?
要は【心療内科】は身体に症状がでる心身症が対象となり【精神科は】幻覚や妄想や薬物依存など心の中で起こってしまう病気を対象としているらしい。
それと、もう1つ大切なことだと思ったのが「話を聞いてくれる病院を選ぼう。」と思ったこと。
初診なら最低30分は聞いてほしいと思っていた。
病院はなるべく近い方が良いので、近くで探したがネットでの評判があまりに悪かったので電車で30分もかかる所を選んだ。
この病院は心療内科と精神科の両方を含んでるので、病院選びには間違いないと思った。
それに初診は時間を取ってくれるらしく、ちゃんと話を聞いてくれると思って選んだ。
―精神科当日
院内はとても静かで清潔感があった。
最初に問診表を書いたり、心理テストをするので30分前に到着するように言われていた。
初めての心理テストに緊張していたのか、内容がさっぱり思い出せない。
数十問の項目があり、基本的に質問には「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3つから選択するのだが、できるだけ「はい」か「いいえ」で答えるのが望ましい。
それに答えたら最後に点数を足して棒グラフを作り主治医に提出する。
名前が呼ばれ、イスに座り、これまでの事を心残りにならない様にすべて話した。
その結果1時間30分も診察して頂いた。
診断結果は【身体表現性障害】という名の病気だった。
「1度、今不安に思っていることを考えないようにしてゆっくり休みましょう。」
「はい。」
「薬を出しておきますので1度試してみて、1週間後来てください。」
「はい。長々とありがとうございました。」
薬は【睡眠導入剤】とそれでも眠れない時の【頓服薬】【抗不安薬】【吐き気止め】だった。
こうして病院を後にした。
帰りながら【身体表現性障害】について調べた。
これまで山ほど病気を調べてきて、図書館にも行って調べたのにこの病気の名前を聞いたのは初めてだった。
ところが、検索結果を見て自分の症状そのままだと思った。
要は【体に明らかな痛みや、異常を感じているのに検査では異常がなく生活に支障をきたしている状態という事だっ】
他の病気とも紛らわしいらしい。
それから薬を服用しはじめたのだが【クスリにはリスク】もあるという言葉を初めて実感した。
嗚咽や、不安症状が出たのだ。
すぐに薬を処方してもらった薬局に電話をして、医師から服用中止するように言われた。
こういった電話は珍しくないらしい。
それから、1週間後再び病院を訪れて薬を変えてもらった。
人それぞれ薬との相性があるので、自分に合う薬を見つけなければならない。
次にもらった薬は内科で1番話を聞いてくれた先生が出してくれた【安定剤】と同じ薬だった。
「いろいろ遠回りをしてこの薬が俺のところに帰ってきたか」と思った。
それからは今でもその薬を服用している。
あの時感じられなかった効果は今は薬が切れたら分かるまでになった。
これから長い付き合いになりそうだ。
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